結婚が生涯所得に与える影響

(写真=Ahmet Misirligul/Shutterstock.com)

最後に、結婚が所得に与える影響を見てみましょう。結婚が女性のキャリアに影響を及ぼした結果は、その生涯所得に直結します。

レポート『大卒女性の働き方別生涯所得の推計』(久我尚子、ニッセイ基礎研究所、2017年)は、大学卒女性の異なる11の働き方を設定し、そのケース別に生涯所得にどれだけの差が生じるのかを試算しています。

出産退職からの再就職は生涯所得を大きく下げる

同じように正社員として職業キャリアをスタートさせた大卒女性でも、結婚して妊娠・出産した後にどんなコースをたどるかによって、大きな差が生じます。

大学卒業後、正規雇用の職に就き、産休・育休を取得して二子を出産。同一企業で60歳まで働き続けたケースでは、フルタイム復帰だと2億3008万円、時短勤務でも2億1234万円の生涯所得を得ることができます。

これに対し、第一子出産後に退職し、第二子が小学校入学時に非正規雇用者として再就職した場合を見てみましょう。フルタイムで9670万円、パートタイムだと6147万円。出産退職から再就職のコースを取ると、生涯でじつに1億円を大きく超える差が出るのです。

独身であり続けた場合の生涯所得

産休や育休を取らず同一企業で働き続けた場合、大卒正社員の女性だと生涯所得は2億5816万円になります。非正規雇用者として働き続けた場合は、1億1567万円です。もちろん結婚して子供を持たない場合もこのコースをたどることになります。

正規雇用と非正規雇用を比べると1億円以上の格差が生じるのですが、出産退職から再就職コースをたどる場合と比べると、非正規雇用だったとしても1897万~5420万円上回ります。

女性のキャリアと結婚を考えるなら、パートナーの支えがカギ

(写真=Elnur/Shutterstock.com)

残念ながら、女性のキャリアと結婚の間には、まだまだトレードオフの関係が残っていそうです。そこには自分の決断だけでなく、結婚相手の考え方、職場環境や上司・同僚の意識、社会全体の風潮も大きく影響してきますから、「自分さえ頑張れば、家庭もキャリアも両立できるはず!」というわけにはいきません。

家庭とキャリアの両立を目指すなら、少なくとも妻のキャリアを自分のキャリアと同じように尊重し支えてくれる相手を選ばないと、いずれどこかで挫折を味わいます。結婚前にはつい何となくの了解で済ませてしまいがちなキャリアプランですが、きちんと確認して擦り合わせておくことをおすすめします。

社会は一朝一夕には変わりませんが、まずは夫婦の間から徐々に変えていくことで、男性も女性も家庭と仕事を両立しやすい環境が生まれていくのではないでしょうか。

「よく考えたら、私の人生の充実に結婚はそれほど重要じゃないなあ」と思うなら、独身を選ぶのも悪いことではないと思います。独身は、キャリアも恋愛も自由に追求できるということ。いつでも自分の手の中にあるということなのですから。

文・菊池とおこ/DAILY ANDS

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