「Starter Home」を買わない階級、買えない階級
こうした時代の移行を受け、若年層家族に新たな風潮が生まれつつある。
これまでは若年層家族が初めての住宅を購入する場合、「Starter Home」と呼ばれる、安上がりな物件を選ぶのが定番だった。まずはStarterを手に入れて、所得の上昇に合わせて、より高級な物件にグレードアップさせていくという将来設計だ。
しかし所得格差が拡大中の近年、すべての若年層家族が住宅を購入できるわけではない。「夢のマイホーム」という言葉は、最早日本だけのものではなくなった。
10年前ならばStarterを購入していた所得層が、賃貸住宅に住むことを余技なくされ、中流の上層階級に属する高所得な若い家族は、Starterよりも高級な物件を初めての住宅に選ぶようになった。
全米不動産協会(NAR)の調査からも、「安上りというだけでStarterを購入して数年後に買い替える手間を考えれば、貯蓄額を増やして質の高い物件を購入したい」という、若年層家族が増えているという。
また米国勢調査局が2013年に発表したデータでは、初めての住宅購入者は通常の住宅よりも面積の広い、大き目の物件を購入していることなども判明している。一般的な物件面積は平均169平方メートルだが、初めての購入者の住宅は平均171平方ある。
「簡単に家を買い替えられる」時代は終わりを告げ、米国でも「家は一生の買い物」という観念が芽生え始めている。
今後米国の不動産高騰が継続すれば、住居を短期的な「仮住まい」ではなく、長期的な視点で見る若年層家族が、ますます主流になっていくだろう。その一方で、いつまでも賃貸生活から抜けだせず、その日暮らしを強いられる家族の不満も、蓄積されていくに違いない。
文・ZUU online 編集部/ZUU online
【こちらの記事もおすすめ】
>思わず共感する40代独身女性あるある
>100均グッズで宅飲みをワンランクアップ
>生活費月100万円超「ご近所セレブ」の実態
>旅行のお土産、いくらが適切?
>あぁ、癒やされる。飼いやすいペット5選