“手抜き論争”から、10か月。
2020年にTwitter上で大きな話題となった冷凍餃子の「#手間抜き論争」、みなさんは覚えていますか?
冷凍餃子を焼いた妻に、夫が「手抜き」発言
子育て中の女性が冷凍餃子を焼いて食卓に出したところ、喜ぶ子どもに対して夫が「手抜きだよ。これは“れいとう”っていうの」と皮肉をこめてコメントしたという内容でした。
これに対して、味の素冷凍食品の公式Twitter(@ff_ajinomoto)が反応。
「冷凍餃子を使うことは「手抜き」ではなく『手“間”抜き』ですよ! 工場という“大きな台所”で、野菜を切って、お肉をこねて、皮に餡を包んで……という大変な『手間』をお母さんに代わってに丁寧に準備させていただいています(続)」
とツイートし、大きな反響が起きました(同社のツイート3件に対して合計44万いいね、13万リツイート以上を獲得)。
そこで今回は、味の素冷凍食品株式会社の冷凍餃子のギョーザ開発担当者と公式Twitterの“中の人”(運用担当者)を訪ね、当時の真相や、冷凍餃子への熱い想い、こだわりについて話を聞いてみました。
あの“手間抜きツイート”は、社内には事後報告だった!
――8月6日の投稿はどのような経緯で生まれたのでしょうか?
Twitter担当:女性の投稿がTwitterで拡散していたことを知り、すぐにその方の最近の投稿を確認させていただきました。推測もありますが、直近のご体調が芳しくない状況でいらっしゃることがわかり、少しでもお気持ちに寄り添いたいと思いました。
目線としては、半分企業で、もう半分は主婦の感覚。正直、私自身も冷凍食品を食卓に出すことに後ろめたさを感じることもありますから、投稿者の方の心情を想像したときに、共感とともに複雑な気持ちもありました。でも、とにかく味方になりたかったんです。
――最近では炎上することを恐れ、TwitterなどのSNS活用には慎重な企業も多いですが、よく社内許可が出ましたね。
Twitter担当:社内報告は事後報告だったんです。
Twitter担当者の上司:公式Twitterの世界観、トンマナ(スタイルなどに一貫性をもたせるルール)は予めPRチームでイメージを確認していました。日々のツイートはタイミングが重要だと考えており、中の人とも共有しています。私は部下のビジネス感覚やコミュニケーションレベル、そして人間性を信頼していましたから、自信をもって背中を押しました。そのくらい大事な事態ですし、弊社としても真摯に発信すべきだと考えていました。
――最近の冷凍餃子はとてもおいしくなっていますし、こんなにもメジャーになっているのだから、“手抜き”と感じる人っているんでしょうか?
ギョーザ開発担当・谷隆治さん(以下、谷):そもそも弊社のギョーザの年間購入率は、お子さんなど買えない(買わない)方を除いた全体を100%としたとき、約20%ほどなんです(※)。ですから、まだまだという状況でして、弊社としてはもっともっと多くの方々に“おいしいギョーザ”をお届けしたいという気持ちで、心をこめてつくっています。
※インテージSCI 2020年4月~2021年3月、「ギョーザ」購入率、味の素冷凍食品(株)調べ