カセはずしステップ2:完璧な家事への圧力を感じなくてもいい

(写真=Y Photo Studio/Shutterstock.com)

なぜ彼の家で料理も洗い物もできなかったのか

彼は料理を普通にする人でしたので、付き合い始めて1年間くらいは、筆者は彼の家で何もしませんでした。大抵彼がご飯を作るのを黙って眺めていましたし、「なんで何もしないの?ズルーイ!」と言われてもどうしても手が出せませんでした。洗い物すら最初はできませんでした。

なぜなのか自分でもはっきり分かりませんでしたが、後に考えて到達した結論はこれです。「彼のルールをまだ知らないのに、ルールに外れたことをして怒られるのが怖かった」のです。

「生タマネギはイヤだ」と言われてテンションダウン

徐々に料理もできるようになった頃のこと。サイドディッシュに生タマネギのサラダを作ったのですが、彼がそれを一口食べて「生タマネギはイヤだ」と言ったのです。

途端に自分でも信じられないくらいにテンションがダウン。あからさまに口数が減って目線が下方をさまよい、彼は笑わせようとしていろいろ話しかけてきますが反応できず、ほぼ動けないような状態になりました。

後できちんと「あなたが悪いわけじゃない」ことを説明しましたが、おそらくそのときの筆者の気持ちは、次の二つだったと思います。一つは「せっかく作ったのにダメ出しされた」という傷つき、もう一つは「相手の嫌いなものを出すという失態を犯してしまった」という罪悪感です。

もちろん彼はダメ出ししたわけでなく、自分の苦手なものの情報をシェアしただけです。それに彼は料理を作るとき、くどいくらいに「何を食べたいか」「これは嫌いじゃないか」を聞いていました。

元夫の「自称主夫」と彼の「ゆるい料理」の違い

おそらく筆者には、「言われなくても相手の満足する料理を完璧に作らなければならない」という思い込みがあったのだと思います。

元夫も料理をする人で、バツイチでした。「前の結婚のときは俺が主夫だった」が口癖でしたが、その実、私と一緒にいるときはあまり家事をやりませんでした。彼の場合、どちらかというと自分の料理スキルを要求水準として使っていました。

例えば、焼きそばを炒める火力の強さやキュウリを刻む方向など、出来上がりだけでなく過程にもダメ出しが入るので、彼がいないときに料理する方が気楽でした。さらに、品数が少なくて食べ尽くすと「次は?」と催促されるのもしんどかったです。

現在の彼は焼きそばのお焦げも好きですし、具にはミックスベジタブルが入ることもあります。ジャガイモの皮はきれいにむかないし、シイタケの軸も取りません。玄米ご飯が固かったら炊きあがった後に炊飯器に水を投入します。そして大抵はプライパンひとつで料理を作り、そのままテーブルに載せて二人でつつきます。それで十分です。

筆者の「料理とは作り方から出来上がりまで完璧にこなして食べる人にサーブするもの」という呪縛が、またひとつ解けることとなりました。