カセはずしステップ1:リラックスしても大丈夫

(写真=PointImages/Shutterstock.com)

車が半ドアでも世界は滅びないのだ!

今でも覚えているのが、最初の思い込みが解けた瞬間です。彼の車に同乗して発車しようとしたときにアラームが鳴ったので「ちょっと停めて。たぶんドアが開いてる」と言ったところ、彼は運転席のドアを閉め直して「君、警察みたい。死ぬときは死ぬからダイジョーブ」と笑いながらジョークを言ったのです。

このときの衝撃、理解されづらいだろうなという気がしますが、筆者にとってはコペルニクス的転回のように価値観がひっくり返りました。元夫と車に乗るとき、停車してロックを解除する前に筆者がうっかりドアを開けようとしただけで、いら立ちと不機嫌が飛んでくるありさまだったので、常にどんな粗相もしないように気を配っていたからです。

でも、半ドアでも死ぬときは死ぬんだし世界は終わらない!ロックうんぬん、いかほどのことぞ!

プレゼントのチョイスに意見を述べても事件は起こらない

次に価値観の転換が起きたのは、彼が筆者にちょっとしたプレゼントをくれようとしたときでした。彼が勧めてくれたものに対し、「これじゃない方がいいな」と意見を言ってみたのです。

じつは筆者は、彼は機嫌を損ねるんじゃないか、突然キレるんじゃないかと内心ドキドキしていました。でも何も起こりませんでした。彼は「じゃあこっちは?」と穏やかに別の提案をしてくれただけでした。当たり前ですよね。

しかし筆者は結婚時、外食で「何を食べたい?」と聞かれ、「そっちは?」と聞き返したばっかりに大事件に発展したことがあるのです。

相手の意向を先回りしてかなえる必要はない

彼と交際を始めて筆者が気付いたのは、結婚していたとき、自分がいつも何をしていたかということでした。自分の意見を控えて沈黙しなければならなかったわけではありません。「相手の意向を先回りして察し、自主的・自発的にかなえる」ということを求められ続けていたのです。車の中での振る舞いも、正しい答えを返すということも。

まるで明確な指示をしない上司と四六時中一緒にいる秘書のようなものですよね。即座に対応できるよう、常にスタンバイ状態にいなければならなかったわけです。

それに慣れていたのですが、男性と一緒にいるときも気を抜いてリラックスしていていいのだ、ということが徐々に分かってきました。