「仮想通貨交換業者」は登録制 課された義務とは

以上のような「仮想通貨」について「交換等」を業として行う者(仮想通貨交換業者)については、改正資金決済法第2条第7項では、次の1~3に掲げる行為のいずれかを業として行う者とされた。

  1. 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
  2. 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
  3. その行う前2号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理を行うこと また仮想通貨交換業には、内閣総理大臣の登録を義務付けたほか、登録業者には課された義務として、以下の2項目が明記された。
  4. マネロン・テロ資金供与対策規制
    (口座開設時における本人確認、 疑わしい取引に係る当局への届出など)
  5. 利用者保護のためのルール整備
    (最低資本金・純資産に係るルール、利用者に対する情報提供、預託した金銭・仮想通貨の分別管理など) 実際には、制度の詳細が「資金決済に関する法律施行令」などの政令に具体化されないと、仮想通貨業者としての業務が行えないが、現状ではまだ詳細は不明である。

    今後、制度案が金融庁より発表され、パブリックコメントなどの手続を経て決定される。改正資金決済法案では、施行は改正案の公布から1年以内と義務付けられており、施行期限は来年2017年の6月3日(土)と定まった。

    金商法の規制対象にはならなかった

    今回の資金決済法改正は、取引の性質やイノベーションの促進、既存の法令との整合性(受け皿性)などに重点が置かれ、資金決済法の一部改正となったと考えることができる。

    「仮想通貨」に投資性を認め、金商法の「金融商品等」とすることにより、金商法の規制対象とする方法もあったと考えるが、その方法は取られなかった。

    改正資金決済法の、仮想通貨の「売買」が、いわゆる信用取引(業者が現金または仮想通貨を貸して顧客が仮想通貨を買う、または売る)ことを想定しているのか、FX取引同様の差金決済まで想定しているのか。前者は「売買」の定義になじむかもしれないが、後者は「売買」とは言えないかもしれない。

    従前、FX取引を規制せず社会問題になり、金融先物取引法を改正しFX業者を規制対象とした経緯からも、今回は先取りして「売買」に限ると規制したとも考えられる。

    詳細はともかく、「規制する」と宣言したことに意味があるのである。

    今後、金商法の規制対象となる「金融商品」と認められる可能性もあり、そうなれば金商法の枠内の取引スキーム・決済手段も可能になるが、現状は一切未定である。

    文・三根公博(マネックス証券執行役員)/ZUU online

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