BUMP OF CHICKEN「アルエ」 『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイ

2004年発売のシングル。タイトルは、エヴァの登場人物、綾波レイのローマ字イニシャルをもじったもの。綾波レイにホレてしまったボーカルの藤原基央の思いがつまった一曲です。

 歌詞に「嬉しい時 どんな風に笑えばいいか解んない」など、綾波レイがしゃべりそうなフレーズを盛り込むなど、モチーフを超えて一体化してしまったほどの勢いを感じます。

 見えないものを見ようとして、エラい曲ができてしまった例でしょうか。

 ここまでは、キャラクターや有名人など固有のモチーフがある例を紹介してきました。ここからは、作者自身の実体験を反映した歌詞を紹介していきましょう。

米津玄師「LEMON」 祖父の他界

2018年の大ヒット曲。ドラマ「アンナチュラル」(TBS)の主題歌でもおなじみです。

 ドラマのプロデューサーから「傷ついた人たちを優しく包み込むような曲」とのオファーを受けた米津。普段から創作にあたり死を意識していたという彼のポリシーと共通するところがあったようです。ところが、楽曲の製作中に米津の祖父が他界。近しい人の死に直面し、彼の中に迷いが生じたため、曲の完成までにはかなりの時間を要したとのこと。

 その結果、セールス以上に、時代の精神性を象徴する一曲が生まれました。