「ちょっとした贅沢」が大きな効果を生む

ところで、あなたが普段外食に使う金額はいくらだろう? 家族旅行で宿泊するホテルの宿泊料はどうだろうか?

コンビニで500円の弁当を買って食事を済ますことだって出来るし、いくらでも高いレストランや料亭を探すこともできる。外国人観光客が増え慢性的に宿泊施設が不足し、宿泊料金が高騰しているとは言うものの、地方のビジネスホテルでは1万円も出せば十分なクオリティが確保されている。もちろん、こちらも上を見ればきりがない。

世の中、安いものからとてつもなく高価なものまで、様々な商品やサービスが揃っている。そうしたなかで、あなたは知らず知らずのうちに自分なりに定めた「暗黙のルール」に従って買い物をしていないだろうか。たいていの人は自分なりの基準で「価格の上限」を決めてお金を使っている。

だからこそ、自分が無意識に決めた「暗黙のルール」「価格の上限」をほんの少し超えたプレゼントを受けとったとき、人は大きな喜びを感じる。自分で買いたいとは思わないが、プレゼントされるとうれしいもの。お客様に「ちょっとした贅沢」を提供することが、銀行への好感度を高めることにもなる。

銀行員が「粗品では無い」お土産を持参したとき

心理学や行動経済学を勉強し、どういった粗品がお客様に最も好印象を与えるかを研究することは大切だ。しかし、世の中には常に例外がある。どうもこれは……という事象に出くわすこともある。

私の経験上、意外と喜ばれる粗品。それは「マッチ」だ。そう、火を点けるマッチである。マッチが欲しいというお客様のリクエストが実に多い。実際には当行では既にマッチの粗品は無い。安全面を配慮し粗品としてこうした物品を配布することは好ましくないとの判断から、粗品から消えて久しい。それでもお客様のリクエストは途切れない。

なぜマッチのニーズがそれほど多いのか。仏壇のろうそくや線香を灯すのにマッチを使いたいという高齢者が多いのだ。さらに、銀行の名前の入ったカレンダーを欲しがるお客様もたくさんおられる。

いずれも、わざわざ買うほどのものでは無いからこそ「もらうと嬉しい」ということなのだろう。銀行の粗品、どんなものがお客様に喜んで頂けるのか。銀行は迷いに迷って選んでいる。

粗品に使う経費があるならそれを金利に上乗せした方が良いと指摘するお客様もいる。だが、そういう人に限って粗品にはうるさい。

だからこそ、ここ一番の勝負のとき、銀行の粗品では無く、地元で人気の和菓子店や洋菓子店の品物を持参することもある。銀行員が粗品では無いお土産を持参したとき、その銀行員はあなたとの商談に並々ならぬ決意で臨んでいると考えてよい。

文・或る銀行員/ZUU online

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