分数ができない大人がいる?

親が職人だと、手工業技術ではなく、ITやハイテク分野へ子供たちを進ませたいという親心から、実科学校やギムナジウムに進学させるようになっている。

しかしギムナジウムに行けない劣等感を持った子供は、勉強意欲もなかなか湧かず、義務教育レベルの知識も身につかないで社会に出て行く。そうして失業者になるケースも少なくないようだ。ギムナジウムに進学する子供が増えたことで、技術者が不足し、結果的に、優秀な職人を輩出した制度が崩壊しつつあるのだ。

一方、エリート教育に進む子供が増えたことで、職業や生活レベルの違った子供たちが交流する機会が少なくなり、視野の狭い大人になってしまうと危惧する声もある。技術大国のドイツでは、分数の計算ができないなど基礎学力のない大人たちがたくさんいるというから驚きだ。

3つのコースに分岐する教育システムにより、教育格差や貧富の差の拡大といった問題が起きてしまった。義務教育における平等性の確保の見直しが進められている。州によっては3つの学校をまとめた総合学校を設立しているところもあるようだが、一部エリート教育を重視する親は、それにも反対の声を上げているようだ。

一見過酷に見える教育システムのメリット

ドイツには小さな頃から「職業」を意識する制度やモノづくりを支えるマイスター制度があるおかげで、身に付くキャリア観は、日本人よりも、早く考えることになる。

勉強が得意でない人は、早く卒業して就職し、勉強ができる人は上を目指すといった「適材適所」の面を考えると、確かに一理ある。

日本の教育は、「みんな一緒に学ぼう」という建前を重んじるため、授業は学習の進み具合の遅い低い子に合わせるので、上を目指す子はみんな塾に通う。

その点では、「できる子を伸ばす」というほうにこそドイツ教育の本質があるのかもしれない。
  
文・ZUU online 編集部/ZUU online

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