ころんと丸く、ふわふわのお餅と餡と豆。豆大福は素朴でシンプルながら、お店によって味や食感が異なるので、その飾らない個性を求めて食べ歩くのも良いでしょう。今回は、東京都内にある和菓子屋と、そこで販売されているおすすめの豆大福を5選ご紹介します。
1. 松島屋(高輪)
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高輪の商店街に店を構えるのが、大正7年創業の老舗和菓子店松島屋です。ショーケースには、常に団子や各種大福、餅などが並べられ、平日であっても行列ができる人気店となっています。のれんをくぐると、職人さんたちが和菓子を作る様子を見ることができ、昔から続く歴史を感じる店内となっています。
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大福ひとつとっても豆、草、吉備の3種類ある中で、松島屋の一番人気はやはり豆大福(190円)。薄い餅の中には塩味が良い塩梅の小豆餡がたっぷりと入っています。赤えんどう豆は蒸されてとても柔らかく、餅との相性も抜群です。
素材の産地にもこだわっているそうです。北海道・石狩産の小豆は風味を存分に引き出すために約6時間煮ているといい、餅米は弾力と食味の良い宮城産みやこがねが使用されています。創業当時からの「良い素材で手作り」という教えを守り、餅も全自動の製造機ではなく創業時から変わらない臼と杵の機械でついています。
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こだわり抜いた大福の他にも、みたらし団子(160円)は、甘じょっぱいみたらし餡が絶妙で、噛み応えのある団子とよくマッチしています。昔ながらの味を守り続ける松島屋の味、ぜひお試しください。
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2. 岡埜栄泉(虎ノ門)
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1912年に東京・下町に創業し、現在は虎ノ門に店を構える老舗和菓子店が岡埜栄泉(おかのえいせん)です。ビジネス街にありながら、開店と同時に様々な客層のお客さんが名店の味を求めて列を作ります。特に、看板商品の豆大福(270円)は、平日も昼頃には完売してしまうほどの人気ぶりです。
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岡埜栄泉の和菓子は、素材や昔ながらの製法にこだわり、米は質の高い極上宮城産米を使用。小豆と赤えんどうは、北海道産にこだわっています。元祖とも言われる自慢の豆大福の餡は、上品な甘さで、非常にきめの細かい小豆こし餡です。また豆大福のシンボルとも言える赤えんどうは、主張しすぎない程度の塩気をまとい、薄くて柔らかい餅で包んであります。
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こし餡、お餅、そして赤えんどうそれぞれの素材が醸し出す甘さや塩気が主張しすぎず、絶妙に調和した豆大福の完成形とも言える逸品です。
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豆大福の他にも、ふわふわな生地が魅力の粒あん入りのどら焼きや、栗の旨みを余すところなく引き出している栗饅頭、茶まんじゅうなどがあります。お菓子によって中身の餡も異なるものが使用されており、ぜひ試してみたい商品ばかりです。
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3. 和菓子 いろがみ(麻布十番)
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虎ノ門にある岡埜栄泉総本家が監修する、新しいタイプの和菓子店いろがみ。2018年、麻布十番に開店しました。店名となっている「いろがみ=色香味」のコンセプトは、「季節の色彩(色)、素材の香り(香)、繊細な味わい(味)」。それらすべてを満たしたお菓子を提供するため、伝統を守りつつ新しいことにもチャレンジしながら、いろがみだからこそ提供できる商品を展開しています。
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お抹茶とともにいただきたい見た目にも美しい季節の上生菓子(350円)、香りのバターどら焼き(330円)のほか、人気商品は岡埜栄泉総本家の看板商品ともなっている、塩豆大福(280円)です。石川県能登産のもち米と大納言小豆に加え、程よい硬さの赤えんどう豆が散りばめられています。餡にもいろがみらしいこだわりが見られ、塩が良いアクセントとなっており絶妙な塩梅の塩餡となっています。
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大福については、季節によって材料が異なるものも展開しており、夏は黒豆大福、秋は栗、シャインマスカット、ごま餡くるみの大福、そして冬はいちご大福など季節ごとに楽しむことができますよ。