『ルシファー・エフェクト』ジンバルドー博士の実験

1971年、スタンフォード大学の心理学者で『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』の著者でもあるフィリップ・ジンバルドー博士が興味深い実験を行っている。

いわゆる「スタンフォード監獄実験」と呼ばれるもので、一般から募集した被験者を看守役と受刑者役に分け、それぞれの制服を着用してもらい「実験監獄」での様子を観察した。

結果は、時間の経過とともに囚人の服を着せた被験者は弱気になる一方で、看守の服を着用した被験者は傲慢になり、果ては囚人役を虐げる行動にエスカレートするというものだった。ジンバルドー博士の著書のタイトルにもある「ルシファー」とは、魔王サタンが堕落する前の天使の呼称であるが、文字通り「天使が悪魔に豹変する」ような光景が見られたという。あまりにも危険なことから、実験は急きょ中止になったほどだ。

スタンフォード監獄実験が示す通り、「ドレス効果」は世界共通で人間の行動に少なからず影響を与えていると考えられる。

愛する人を悲しませてはいけない

しかしながら、クルマを販売する要素としてはドレス効果がとても重要な意味を持つ。「このクルマを買えば、なりたい自分になれる」とイメージさせることで、購買意欲を刺激するからだ。実際、クルマのCMには強そうな俳優を起用して、購入後のユーザー像をイメージさせるものも見られる。

ドレス効果自体は悪いものでもなく、前述のビジネスマンの例など、モチベーションが上がるような正の効果もある。また、そのクルマが持つイメージを自分なりに理想化し、そこに自分を合わせる努力を促す側面もあるだろう。憧れの一台を手にいれるために、そのクルマにふさわしい人間になりたい。そんな想いが、学業や仕事での向上心の源となれば、目に見えない良い効果を生み出していることにもなる。

クルマの運転を通じて、非日常的な時間を過ごせるのは素敵なことだ。ただし、家族や恋人など自分にとってかけがえのない人を悲しませるようなことは絶対にしてはいけない。そのことを肝に銘じておけば、素晴らしいカーライフを満喫できるだろう。筆者自身、自戒を込めて切に願わずにはいられない。愛する夫のためにも。

文・池谷真子(モータージャーナリスト)/ZUU online

【こちらの記事もおすすめ】
思わず共感する40代独身女性あるある
100均グッズで宅飲みをワンランクアップ
生活費月100万円超「ご近所セレブ」の実態
旅行のお土産、いくらが適切?
あぁ、癒やされる。飼いやすいペット5選