弁護士に依頼するということの意味

(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

弁護士の職務とは

『弁護士法』第一章第三条において、弁護士の職務は次のように規定されています。

「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」

つまり、訴訟やその他の事件において法律事務を扱う専門家、ということです。

弁護士依頼なしで離婚した筆者の成功と失敗

筆者は弁護士に依頼することなく、協議離婚と離婚後の紛争解決調停を行いましたが、成功と失敗のポイントはまさに、「法律事務の専門家がついていたか否か」にあったと感じています。

筆者の場合、離婚成立を優先させて、まずは協議離婚で離婚届を提出し、その後解決しきれなかった問題について「離婚後の紛争解決調停」を申し立てました。解決事項がそれほど多くなく、手続きや書類作成自体がさほど難しくなかったため、法テラス(日本法律支援センター)の無料相談でアドバイスをもらいながら自分で対処する方を選んだのです。

しかし、困難は調停が成立した後に生じました。相手の不履行に対し、強制的に履行させる執行力がなかったからです。調停を成立させるところまでしか見通せなかった筆者の限界でしたが、法律の知識と運用に熟知している専門家にトータルで見てもらわないと、取りこぼすところが出てしまうのだなと痛感しました。

弁護士に依頼しても自分でしなければならないこと

執行力がなかったために問題を残し、それゆえに、先日元夫の連帯債務が降りかかってきた筆者ですが、さすがに弱気になって弁護士に頼りたくなり、正式依頼も念頭に置いて、再び法テラスに行ってきました。

相談の結果、事態はそれほど最悪ではなく、まだ自力でやれることが分かりましたが、もう一つ再認識したことがあります。「お任せは、ダメ」ということです。

どういう落としどころに持っていきたいのか、どこまで獲得したら万々歳で、最悪どこまで飲み込むか。選択肢の分岐点が出てきたとき、どちらを選ぶのか。それらのことは、自分以外の誰も決断してくれません。

弁護士は問題を整理して、解決への道筋を示してくれますが、身を委ねていれば目的地に着く訳ではありません。最終的にどんな結末になったとしても、それを受け止め引き受けるのは自分です。

「弁護士に依頼したとして、結果につながるのか」という不安が生じるとき、もしかすると私たちの中には「とにかく何とかしてくれないかな」と手放しで任せてしまいたい、弱気と甘えがあるのかもしれません。