日本の「自社株買い」「輸出関連」指数も

日本関連では、「自社株買い企業」や「金融を除く輸出関連企業」に連動するものがあり、縮む日本経済の影響を受け易い業界を避ける狙いが感じられる。

「自社株買い」は企業の公式発表から2ヵ月以内の銘柄を組み入れるもの。リーマン・ショック直後の08年11月の組成以来、昨年前半までほぼ一貫して上昇、3.5倍になったが、直近ではそこから3割近く下落している。主要構成銘柄はソフトバンクの約10%を筆頭に、日産やいすゞ、そして京阪電鉄などを傘下に持つ京阪ホールディングスなどだ。

もう一方の「輸出関連」は、安倍政権が誕生した12年末以降の円安の過程で、昨年後半にかけて2倍以上になった。だが、円高基調に転じた昨年末以降は2割以上下がっている。その名の通り、輸出型企業を組み込むが、バイオ薬品開発企業で東証マザーズ上場のそーせいグループ、半導体テスターのアドバンテスト、モーターの日本電産など結構ニッチな銘柄が多い。

新技術をピンポイントで狙う指数も

Solactive社には高成長が見込まれる、ハイテク技術をピンポイントで狙った指数もある。ハイテクの中でも、とくに新技術の分野では企業の浮沈が目まぐるしく、個別銘柄への投資はリスクが高い。同社の指数で複数企業に投資できれば、リスク分散が図れるから魅力的だ。

「3Dプリンティング」にはイスラエルのストラタシスや米プロトラブズが含まれ、「ビッグ・データ」はスプランクやテラデータなど全て米国企業で構成される。「フィンテック20」は世界最大手の金融テクノロジー企業20社に投資しているものだ。米SEIインベストメンツや独ワイヤカードなど、見慣れない銘柄がずらりと並んでいる。いずれの指数も急騰の後、急落するなどボラティリティーが高く、長期のパフォーマンスは必ずしも良いとは言えない。そのため、投資をするならポートフォリオのスパイスと考えるのがいいだろう。

日本のETFでは、日銀のツルの一声で大和や野村が組成した「賃上げETF」が東証に上場、日興アセットなども追随するようだ。だが、銘柄選択はありきたりで横並びという印象は否めない。トヨタ、ソフトバンク、セブン&アイなど似通ったものばかりで、組成会社の個性が感じられないのだ。

インバウンド需要関連やドローン関連、「アベノミクス期待関連」あるいはその逆の「アンチ・アベノミクス関連」。もしこんなエッジが効いて尖ったETFがあれば、日本の株式市場の活性化につながる可能性は大いにある。そこはSolactive社に期待したいところだ。

文・上杉光(シニアアナリスト)/ZUU online

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