IT革命・グローバル化に乗り遅れるGDP

「エコノミスト」誌の提言が意味を持つのはしたがって、「経済活動の指標」としてもGDPはもはや時代遅れではないかという点だろう。特に注目すべき問題を3点挙げよう。

第1に、GDPの算出は価格の測定抜きには不可能だが、どの時代にも「品質・新製品バイアス」、「アウトレット・バイアス」「代替バイアス」などの物価計測バイアスが多かれ少なかれ存在した。また第2に、価格変化の計測と並んで名目取引額の把握にも固有の問題が生じて来る。その実態も決して無視できず、経産省のレポートによれば、2014年のB2C(小売り)電子商取引(Eコマース)額は中国の約4300億ドルを筆頭に米国 3000億ドル、英国 800億ドルだ。

第3に、ITネットワークが大きな原動力となって、「ボランティア経済」とも呼びうる非市場活動が加速的に成長してゆく。無料オンライン講座「ムーク(MOOC)」、ウェブ上で共同制作される百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」など、人々の生きがい・楽しみや福祉と言う点で大きなウェイトを持つこれらの非市場取引経済はどう計測されるのかはっきりしていないのだ。

他方でGDPへの関心は今なお大きい。実際、1-3月期のGDP速報がこのほど発表され、株式市場にそれなりのインパクトをもたらした。「速報値」は今後時とともに何度か「改定」され、最終的に確定するまで数年かかるのが普通だが、そんな「速報値」ですら貴重な手がかりと見る人たちがいてもそれはそれ。

長期的な成長分析や、国際比較に当たっては、「時代」に即した経済活動指標の構築をぜひとも進めねばならない。

文・岡本流萬/ZUU online

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