さて、門をくぐって振り返ると、ご覧ください。しっかりとした茅葺の屋根なんです。ちょっと珍しい門なんですよ。屋根の中に苔の色がちらちらと見えて素敵ですね。
苔の石段
山門をくぐると、真正面に苔の石段が現れます。これ!これです。この苔むした石段の風景を求めて参拝者が訪れるんです。筆者が訪れた日も、多くの人が一眼レフカメラを携えて、じっくりと写真を撮っていました。
この美しい苔を守るのと、石段がすり減っているため立ち入り禁止となっています。この苔の階段は、ぐぐっと寄って撮るのが正解で、引いて撮ると……
こんな感じで、参拝者用の階段が写っちゃうんです。みんなうまい具合に横の階段が写らないようにして工夫して撮っていましたよ。
杉本寺は緑が多く、苔の石段に落ちる木陰も雰囲気に一役買っていて素敵ですね。杉本寺は全体的に木陰が多いお寺。苔の種類にもよりますが、日当たりの良いところに生える苔はカラッとした低い湿度を好み、木陰が多いところに生える苔は高い湿度を好みます。
訪れる季節にもよりますが、注意していただきたいのは、この湿度を好むという条件が蚊の好む条件と一致しており、じっくり写真をとっていると、数カ所いっきに蚊にさされてしまうんです。
筆者が訪れた際は、カメラ携えた参拝者の犠牲者多数!みんな急に足元を搔き始める事態に……。夏場に訪れる際は蚊除け対策を忘れずに!
本堂へ
さて、それでは苔の石段を心行くまで撮影した後は、本堂へ向かいます。
本堂へ向かう新しめの階段も、両サイドが深い緑に覆われていて、きっと長い年月、人が通らなかったら苔むすんだろうな……と思わせる雰囲気です。
階段を登りきると、本堂が境内の真ん中に位置しています。残念ながら本堂内は撮影禁止ですが、札所巡礼の要となる十一面観音像が安置されています。
本堂も茅葺屋根となっており、先ほどの山門の茅葺とは異なる印象です。山門の茅葺は、金剛力士が安置されるにふさわしい荒々しい雰囲気の茅葺でしたが、こちらは観音様が安置されているためか、上品な茅葺ですね。白くて平らに整備されていて、美しさと秩序を感じます。
杉本寺は、こんな感じで茅葺の違いも楽しめます。少し歩を進めると、先ほど見た苔の石段を今度は見下ろせる位置にきます。この角度の写真も面白いかもしれませんね。
この近くには、「閼伽水(あかみず)」があります。仏前に供養される水のことです。
閼伽はもともと、仏教発祥のインドでは価値のある物の意味でした。最初は、仏前に捧げるものを意味していましたが、お供え物として水が必須だったので、自然と「閼伽水」と呼ばれるようになりました。
この閼伽、時代が流れて西洋に伝わって「Aqua(アクア)」になったのでは?という説もあるそうですよ。
五輪塔群と身代地蔵
本堂を越えると、目に入ってくるのはこの五輪塔。ずらずらっと並んだこの景色は、かなり印象深いものです。
どの石も角が丸くなり、白く斑になっていますね。とても古そうですが、一体いつ頃のものなんでしょう。
この五輪塔は、その昔境内の裏山にあった「杉本城」の城主と、その家臣を弔うための供養塔なんです。
経済的に重要なルートを守っていた杉本城では、1337年、戦いにのまれて多くの犠牲者がでました。300人近くの家臣達が自害したと言われています。
五輪塔群のすぐ横には、赤い前掛けを付けたお地蔵様が、7体安置されています。
一番右端に、ひときわ大きいお地蔵様がいますね。
この大きいお地蔵様は「身代地蔵」と呼ばれています。この地蔵は、争いの際に、杉本城を築いた「杉本義宗」の身代わりになって矢を受けたと伝えられています。
さいごに
いかがでしたか?
鎌倉に100近くもあると言われるお寺のなかで、いちばん古い「杉本寺」。ガイドブックでは、紙面の都合からか、苔の石段だけの紹介に留められることがほとんどですが、実は他にも雰囲気を楽しむべきポイントが秘められたお寺なんです。
印象的な写真を楽しみに、またはその深い緑の雰囲気を楽しみに、ぜひ杉本寺に足を運んでみてくださいね。
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