「変動金利」の住宅ローンでは意味がない

「固定金利」と「変動金利」では、借入時において変動金利の方が金利が低い。「固定金利」は金利が約束されている為その間の返済額は確定されるので、今後金利が上昇しようが下降しようが影響がないということだ。

それに比べ「変動金利」は金利が上昇すれば返済額が増え、金利が下降すれば返済額が減る。そのため「変動金利」を選択して、今後金利が上昇してしまった場合マイナス金利の恩恵を受けられないことになる。

「固定金利」と名前がついているが、固定期間が終了した後に変動金利となる「期間選択型固定金利」も変動金利と同じく将来金利が上昇すれば返済額は増えてしまう。案外「期間選択型固定金利」を完全に固定と勘違いしている人もいるので要注意である。

金利が上昇しても月々の支払いに上限枠があるから大丈夫と思っている人も多く見受けられる。実際は、金利上昇において月々の支払いの上限枠を超えた上昇分の支払いは一番最後に付け足され支払期間が延びてしまうのだ。

金利がもっと下降したら?

とはいえ、もっと金利が下降すれば今「全期間固定金利」で組んだ住宅ローンより、利息支払いが少なくてすむかもしれないのだ。確かにフラット35は史上最低金利を更新したが果たして今後に比べて今が最低になるのかわからない。

金利が下降したらその時は借り換えをすればいいと思いがちだが、借り換えをした際に借り換え手数料などの諸経費も含めて支払総額を減らすには一般的に「金利差1%」「残債1000万円」「残年数10年以上」が必要といわれている。

「金利差1%」は今後考えにくいため、金利の低いローンに借り換えることは事実上ないに等しいだろう。

既存の住宅ローンの借り換え

すでに住宅ローンを「変動金利」組んでいて、これを機に金利上昇時に不安のない「全期間固定金利」の住宅ローンに借り換えをしようとお考えの方も多いだろう。マイナス金利といっても「変動金利」に比べ「固定金利」は金利が高いため月々の返済額は増えてしまう。

加えて、借り換え手数料も大きく負担になる。そして前述したがこの借り換えで「変動金利」から「期間選択型固定金利」の変更では全く意味がないので注意が必要だ。借り換えの審査も簡単に通ると考えるのも安易である。

マイナス金利であるないにかかわらず、ライフプラン全体を考え住宅ローンのあり方を吟味するのが重要であることを忘れてはならない。

文・廣木智代(ファイナンシャルプランナー(CFP))/ZUU online

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