政府も検討を進める「AIの著作者認定」

日本政府もこのAI・ロボットの著作権についての議論を始めている。政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍晋三首相)が、AI・ロボットによる著作物の権利を保護する必要性を盛り込んだ「知的財産推進計画」を決定しており、制度的な対応を進めようとする動きもある。

その中で、政府は現行制度では不透明な著作権の主体の明確化や、ビッグデータを活用した著作物に対する著作権の見直しを進める構えだ。AI・ロボットによる著作物についても、保護するための法制度の整備を積極的に進めることが盛り込まれている。

具体的には、2016年度中にAI・ロボットによる著作物の保護に関する法制度の検討を進めた上で、必要があれば2017年度以降に実際の法制度として整備する見通しだ。

「ロボット著者」で、約1000万ドルを調達する企業も

実際、文学賞の一次選考を通過できる、AI・ロボットが書いた小説や、ロボット記者が書いた記事は、今後、さらに増える可能性もある。すでにそれを予言するかのような動きがすでに海外では始まっている。「ロボット著者」のビジネス化だ。

具体的には、AP通信が利用しているロボットは、オートメイテド・インサイツ(Automated Insights)社の自動記事執筆技術とザックス・インベストメント・リサーチ(Zacks Investment Research)の提供するデータを活用して、記事を製作しているという。言い換えれば、ロボットをビジネスとして売り出す企業が出てきており、1000万ドルを調達したというベンチャー企業の話もある。

今やAI・ロボットによる創作は「研究」レベルを超えて「ビジネス」として成立する段階にまで来ているのだ。今後ビジネスとして拡大していくためには、先ほど説明した著作権の問題をクリアすることはまさに急務である。

著作権の問題がクリアされたとき、さらに「ロボット著者」のビジネスは急拡大するのではないか。もともとは我々、人間だけに出来た創作、それをロボットがどんどんやってしまう未来。近い将来には本当に、「人間と人工知能の違いは何なのか?」という大きな疑問が論議される時代が訪れるかもしれない。

文・ZUU online 編集部/ZUU online

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