パターン化は、発達障害の人が持つ強みのひとつ

――ダメ社員から起業家へと転身されたわけですね。発達障害を強みに変えるために、ご自身で具体的に意識したことはなんですか?

銀河:まず、私の場合は、こだわりが強くて、決まったパターンで物事を進めたがるんですね。「融通が利かない」と言われがちなのですが、正解さえわかれば、忠実に同じパターンを繰り返すことができるので、失敗しなくなるんです。

発達障害で「宇宙人」と上司にいじめられた私が、障害を強みに変えるまで
(画像=『女子SPA!』より)

――同じパターンを繰り返す……ですか?

銀河:たとえば、発達障害の人にありがちなのが、「大人数の会話が苦手」ということ。会議が難しいのは、その場の人間関係が非常に複雑だということです。その場にいる人に対して、職位が上の人だから、その人の言うことにすべて従っておけばいいというわけではありません。同じ職位の上司であっても、その二人の関係性や他の人に対する影響力によって何かしらの上下関係が存在します。また、先輩社員同士の間でも力関係はあるし、好き嫌いなどもあります。

発達障害でない人は、この複雑な人間関係を、「この人を立てなきゃいけないんだな」「この人の発言には同意しておいたほうがいいんだな」とその場の空気を察することができますが、私の場合は「察する」ことができないので、誰を立てるべきなのかよくわからず、それを気にしながら話をするのが非常に難しい。正直、いまだに会議は苦手で、10人以上になると、ほぼお手上げ状態です。

ひとまずは「会議の流れは止めない」が大前提

――でも、ビジネスにおいて会議は避けて通れないですよね。

銀河:そうなんです。だから、複数人と同時に話すときの成功パターンをなんとかして模索し続けました。現在、一番に気をつけているのは、「会議の流れに水を差さない」ということ。私は「無駄に思えることをやりたくない」と考える傾向が強いので、その会議の主題が無意味に思えれば、何も考えずに異論を呈してしまいます。以前の私がよくやっては失敗していたのが、「そもそも論」を言い出して、会議の流れをぶった切るということでした。

病院内の処方の売上を伸ばそうとして、これまでに注目していなかったエリアで新たな施策を行うことが決まり、その内容について会議で検討しているとします。みんなが「どんな施策をしたら、処方の数が伸びるのだろうか」と知恵を振り絞り、いろいろなリサーチを進めている会議で、私は「なんで、そもそもこのエリアで施策をする必要があるんですか?むしろ別のエリアでやったほうが、効率がいいと思います。今からでも、方針転換したほうがいいんじゃないですか?」などと、空気を読まずに水を差してしまうわけです。