周囲に合わせるのが苦手で、何かと空気が読めない。そんな性質から、日々の生活で悩みを抱える発達障害当事者は多いはず。そんな「空気が読めない」という性質から、職場の上司からいじめに遭い、一時は自殺まで考えたというのが、「発達障害を強みに変える」という発信を行い続けている銀河さんです。
自殺願望を抱いた末に病院へ行き、ASD(自閉症スペクトラム障害)傾向の強い発達障害として診断された後、一念発起して独立。自著『「こだわりさん」が強みを活かして働けるようになる本』のタイトルどおり、自身の発達障害をどうやって強みに変えることができたのか。その経緯を聞きました。
上司のいじめで死まで考えた末、発覚した発達障害
――銀河さんが、ご自身は発達障害だと知ったのはいつですか?
銀河:25歳の時です。当時の私は薬剤メーカーでMRをしていたのですが、社内の人間関係は最悪でした。同僚との雑談の意味がわからずほとんど参加してなかったし、上司からは「お前は営業の感覚が全然わかってない」と怒鳴られてばかり。正直、本当にダメなやつだったんです(笑)。そのせいで、会社で「お前は空気が読めない」「宇宙人だろ」という言葉を浴びせられて、上司からいじめを受けるようになり、うつ病になってしまって。
次第に、会社に行くのが嫌で朝は起きられないし、夜は眠れない。道路を走るトラックを見ると、「あそこに飛び込んだら楽になれるのに……」という希死念慮がわいてきて、「これはヤバイ」と思い、病院に駆け込みました。そしたら、先生に「あなたは発達障害の疑いがあるので、診断を受けましょう」と言われ、テストを受けたらASD寄りの発達障害だと判明しました。
発達障害は強みになると気づいて起業
――診断を受けたときはどんな心境だったのでしょうか?
銀河:診断を受けたときは、発達障害のことをよく知らなかったこともあり、落ち込みましたね……。「『障害』と名がつくのだから、良くないものなのだろう。こんな障害を背負ってしまって、自分はこれからの人生をどうやって生きていけばいいんだろう……」って。このハンディキャップをどうやってカバーしたら、「定型発達」と呼ばれる人たちと同じになれるのかと、悩み続けました。
でも、「発達障害=ハンディキャップ」と考えると、マイナスからのスタートになるので、なかなかモチベーションがわかなくて……。「発達障害=ハンディキャップ」と考え、その弱みをカバーするのは、マイナスを0にするということなので、どんなに自分が努力しても、苦手なことを無理してカバーするだけなら、結局は発達障害でない定型発達の人と同じスタートラインに立つことしかできないですから。
――苦手なことをカバーするのは、楽しくなさそうですしね。
銀河:そうなんです。次第に、「障害」という文字こそ入ってはいるものの、発達障害のある人たちは発達障害でない人にはないユニークな個性を持ち合わせていることに気がつきました。ならば、発達障害でない人と同じになることを目指すより、むしろその個性を強みに変えるほうがいいじゃないかと考えるようになりました。そこで、会社を辞め、当時の同僚と共に起業し、現在では発達障害者向けのコーチングを行っています。