ミシュランにも選ばれたごちそうおにぎり
お次は都内最古のおにぎり専門店から。ミシュラン(ビブグルマン)に選出されたこともある「浅草宿六」は店構えからして凛とした佇まい。店を切り盛りする眼光鋭い3代目、三浦洋介さんがしばしば口にする「おにぎりなんてしょせんは米と海苔と具」というフレーズは、自分の作品に対する強い矜持を感じさせる。
3代目のおにぎりを口に入れた瞬間に感じるのは完成度の高さ、あるいは一体感だ。新潟県産コシヒカリと、香り高い江戸前海苔が口の中で調和し、その直後に味覚を刺激する具材が見事な旋律を生む。さらに、絶妙な塩加減が素材本来の味を引き立て、宿六のおにぎりをより完成度の高い作品へと昇華させている。
都内最古!おにぎり専門店の「いくら」と「山ごぼう」
訪れたら絶対に食べてやろうと決めていたのは、店で一番値の張る「いくら」と、3代目のおすすめでもある「山ごぼう」。塩漬けにした「いくら」は、これだけで酒のつまみになるほど、完成された品である。頰張るとかすかな磯の香りが、ごはんの湯気とともに鼻に抜けていく。
「山ごぼう」は、最初はおにぎりの具材として成り立つのかと疑ってかかったが、これまたシャキシャキとした具材の食感とごはんが意外なほど合っている。
18種類あるメニューは、店主が店を継いだときからほとんど変わっていないという自信作だ。
好きな具材をリピートするもよし、新しい味にチャレンジするもよし。元は家庭料理だからこそ、最高のおにぎりを口にしてその違いに唸ってほしい。
浅草宿六の「おにぎり(いくら・山ごぼう)」 塩漬けされた「いくら」(748円)は醬油漬けに比べお値段は張るが、いくら本来のうまさを堪能できるとあって人気。味噌漬けされた「山ごぼう」(297円)は風味の良さと歯ごたえが絶妙