スマートじゃない、力業の解決法

(写真= Mangostar/Shutterstock.com)

調停成立、比較的スムーズに成立したけれど……

調停は合計2回、ほぼこちらの主張が通る形で成立しました。そこで決まったことは、期日までに借入金を一括返済して担保を返却すること、期日までにお互いの連帯保証人を変更し新しい契約書を送付することなど4項目です。成立時はほっとし、これでやっと解決!と大きく息をつきました。

ところが、また同じことです。借入金は少額だったので期日通りに解決しましたが、連帯保証人問題がまったく進みません。元夫が動かないのです。履行勧告をしようが何をしようが、岩のように動きません。

筆者は、強制執行の一つである「間接強制」という方法を試みました。簡単に言うと「履行しないのなら金を払え」という強制力の効かせ方です。しかし、筆者が法律の素人だった弱みもあり、もともとの調停条項が「執行力を有しない」、つまり「無理矢理実行させる力がない」と判断され、できませんでした。

強制執行は、約束した金銭を払わないなどの不履行に対しては力があるのですが、「〇〇をする/しない」のような約束事には、なかなか使うのが難しいのです。

動かすポイントは「新たに契約し直す」方法

そこで、家庭裁判所を通した正攻法のやり方をあきらめ、少しダーティな手段を取ることにしました。元夫の事業と取引先にかかわることですから、できれば避けたかったのですが、貸主に直接コンタクトを取ることにしたのです。

偶然にも、身内が店舗物件の貸主である企業とつながりがあり、不動産部門の最終責任者とも面識がありました。そのルートを通じて事情を説明し依頼することで、先方の配慮を得て、元夫は新たな連帯保証人を立てて賃貸契約をやり直す運びとなりました。

とはいえ、一般的な認識は「連帯保証人は変更できない」だと思います。筆者も正しくはどうなのかよく分かりません。ですが現実に、「もう一度新たに契約し直す」という形で店舗賃貸の連帯保証人を抜けることができましたし、筆者の車の連帯保証契約も同様の形で変えました。

車の契約については、新車のリース契約としてスタートしたものを同じ車両の中古車リース契約としてやり直すことで、問題なく対処できました。ですので筆者には、元夫がその気になれば、同じやり方で事業用車両のリース契約をやり直すことができるはずだという確信がありました。

時限爆弾が爆発した

ところが、最後に残った事業用車両リース契約だけは、押しても引いても動きません。リース会社と直接話をしても、彼にとっては困る展開でしょうにだんまりを貫き、リース会社も借主が動かなければいかんともしがたい、という立場でした。

筆者も手詰まりとなり腹をくくり、「もしあなたが不払いを起こしたら、そのときはあなたが車を失うときですよ」と元夫に釘を刺し、何らかの抑止になることを祈りながら連絡を絶ちました。およそ1年半前の話です。

その後、連帯保証のことは頭にありつつも、時間の経過とともに、元夫が頑張って持ちこたえて終わるかな、と徐々に気を緩めてきました。事業も何とか継続していたようでした。

ところが、何ということでしょうか。心配することをやめた頃、元夫が全ての借金と支払いを残したまま失踪したのです。この原稿を書くほんの3日前のことです。筆者もあまりのタイミングのよさにぼうぜんとしてしまいました。

正確に言えば、彼はその1ヵ月前くらいには姿を消したようです。徐々に周囲が騒ぎ始め、月末の支払いが飛び、各金融機関の知るところとなって、筆者のところにも連絡が来たという経緯です。

まさか自分の人生に、元夫が借金を放置して失踪するとか、連帯保証債務が降りかかるとか、そういうことが起こるとは思っていませんでした。全力で解決するつもりですが、できればこの数ヵ月後には、皆さんに「元夫の失踪と連帯債務をこうやってねじ伏せた」という、〝前向き〟な実践レポートをお届けできればいいなと思っております。