筆者が抱えた3つの債務

(写真=fizkes/Shutterstock.com)

さて、ここから泥臭い実践編に移ります。じつは、筆者が離婚したとき、元夫との間に3つの債務が絡まっていました。

1つの担保提供、2つの連帯保証

元夫は個人事業を営んでおり、筆者はサポートをしていました。そのため、事業に絡んだ下記の債務が生じていたのです。

  1. 少額の金銭借入:元夫が債務者、筆者が共済証書を担保として提供
  2. 店舗の賃貸借契約:元夫が借主、筆者が連帯保証人
  3. 事業用車両のカーリース契約:元夫が借主、筆者が連帯保証人 カーリースに関しては同じリース会社から筆者の日常使用の車も借りており、借主が筆者、連帯保証人が元夫でした。

    「なんでそんなに背負ったの……?」と聞かれれば、「夫婦だったから」と言うしかありません。筆者にも「連帯保証はやばい」という知識はありましたが、元夫から依頼されたとき、断るという選択肢はまったく頭に浮かびませんでした。むしろ自ら進んでなってしまったような側面もあります。

    ファーストステップ:情報収集と話し合い

    離婚に至ったとき、筆者は血の気がすべて引く思いでした。別れた夫を連帯保証し続ける懐の深さと度胸はありません。さらに、自分の関与できない事業の負債などもっとも危うい類の負債です。

    これらの契約は記憶としてはあるだけで、書類はほぼ手元にありませんでした。まずは、元夫と攻防含みの交渉で、コピーを送らせたり、別件を問い合わせる形で期間や残額を聞き出したりして、契約内容の目鼻をはっきりさせていきました。

    同時進行で、法テラスと公証役場にも相談。最初に目論んでいた解決法は、元夫と当事者同士の話し合いをして合意し、公正証書を作るというものでした。

    セカンドステップ:調停申し立て

    筆者の実家で、元夫と一度話し合いをした結果、懸念していたほどもめることもなく、すんなりと合意。元夫が「書類は作らなくていいだろう」と言ったので、公正証書を作るに至りませんでした。

    ところが、それから事態はうんともすんとも進みません。元夫は何もしません。連絡をして促しても、体調悪化を持ち出したり仕事の忙しさを持ち出したり、言い訳ばかりで時間だけが過ぎる一方。ついには入院中との連絡が来て、まったく信用しなかった筆者が店に電話をかけてみると、朗らかな声で本人が出ました……。筆者は怒り心頭に達し、ここで調停を申し立てます。

    この調停は「離婚後の紛争解決調停」というものです。筆者はトラブル解決より離婚成立を優先させました。離婚後の新生活立て直しのためもありましたし、元夫はほかにも事業上の借金を抱えていたので、その行方が怖かったからです。