手を出してはダメな競売物件とは?

不動産投資の初心者は、占有者がいる賃貸住宅、戸建住宅、住宅以外の物件には手を出さない方が良い。

居住用の競売不動産は、住宅ローンの滞納に起因する物件が多い。競売物件に居住している占有者が住宅ローンの滞納者だと家賃が確実に払われないリスクがある。裁判所が退去を命じる引渡命令手続きがあるが、費用は落札した買受人の負担で、立退料などの出費が必要になることもある。占有者が競売物件の所有者と縁がない善意の入居者等で、家賃の滞納がなければ、新たな入居者を募集する手間と費用が省けるメリットがあるが、善意かどうか確定できない場合は、避ける方が良い。

戸建住宅は瑕疵リスクがある。一般的な不動産売買では、目に見える瑕疵は買主と売主のどちらが追うかを決め、目に見えない瑕疵は売主が追うと定められている。競売物件は目に見える瑕疵は書類に記載しているが、目に見えない瑕疵は買受人が追うことになり、補修費用等のリスクがある。

競売初心者が手を出しやすいのはワンルームマンションだ。ファミリーマンションは、転勤シーズンなど賃借人の入居時期はほぼ決まっていて、時期を逃すと空室期間が長くなりかねないが、ワンルームマンションは転勤や新入学シーズン以外でも借り手がつきやすく、管理費などの費用も安い。ワンルームマンションは現金化も容易だ。築10年前後を経過したマンションは、売買相場が競売価格を下回ることはほぼない。

通常の不動産売買では、購入前に物件概要のほか現物も見ることができる。居住目的の住宅なら十分な審査を経て、住宅ローンなど低利のローンを使うこともできる。

競売不動産は、周辺は下見ができるが現物を見ることはできず、物件明細書、現況調査報告書、評価書や登記簿で判断しなければならない。競売物件で組めるローンもあるが、賃貸目的の投資用不動産のローンは最長10年で、金利も住宅ローンより高い。ローン実行が払込期日に間に合わないと落札は取り消され保証金は戻ってこない。

賃貸不動産の固定資産税、保険料、管理費、入居者募集費用、修繕費などの諸経費は不動産収入の経費として計上でき、マイナスは給与所得や事業所得と相殺できる。競売物件は不動産を安く買うことができるが、リスクに耐えられる物件に留めることが肝要だ。

文・佐々木和義(韓国在住CFP®)/ZUU online

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