NISAのデメリットとは

NISAには「売却益や配当金・分配金を非課税で受け取ることができる」「誰でも気軽に投資を始められる」というメリットがありますが、一方でデメリットもあります。

NISAのデメリットを知らずにNISA口座を開設したりNISAを利用して投資を行ってしまうと、思いもよらない手間が増えたり損失を被る可能性があります。

ここからは、NISAを開設して投資を始める前に必ず知っておくべき「NISAのデメリット」を4つ紹介します。

非課税枠の再利用、繰越はできない

NISAを利用する上で注意していただきたいポイントの1つとして、非課税枠を利用して株式や投資信託を購入した場合は、商品を売却したとしても非課税枠を再利用できない点があります。

そのため、デイトレードのような何度も売買を繰り返して細かく売却益を得る投資方法を行うのにNISAは向いていないといえます。また、上限が年間120万円までしかありませんので、どの商品にいくら投資を行うかをしっかりと考えたうえでNISAを利用しなければいけません。

NISAの非課税枠は、再利用できない一方で、消費しなかった枠を翌年以降に繰越できないというデメリットもあります。

つまり、ある年にNISAの非課税枠120万円のうち80万円だけを消費した場合、消費しなかった40万円を翌年以降に持ち越せないということです。

「NISAの非課税枠は繰越できない」というデメリットに関連して注意するべきポイントが、「NISAは受渡日ベースで非課税枠が消費される年が決まる」という点です。

株式や投資信託などの有価証券の売買においては、必ず「約定日」と「受渡日」があります。有価証券の買付や売却が成立した日のことを「約定日」と呼び、約定に伴う資金や商品の受渡しが行われる日のことを「受渡日」と呼びます。

例えば、国内株式の場合は約定日を含めた3営業日後が受渡日となります。

ここで、「NISAは受渡日ベースで枠が消費される年が決まる」という点に気を付けなければ、年内に注文が成立したにもかかわらず、翌年のNISAの非課税枠が消費されてしまう恐れがあることが分かります。

2020年を例に説明すると、2020年は12月30日(水曜日)が、国内株式の最終取引日です。

しかし、仮に2020年12月30日にNISAを利用して株式を購入すると、受渡日は翌年2021年1月5日(月曜日)となります。

この場合、たとえ2020年の非課税枠が残っていたとしても、非課税枠の繰越はできないため、2021年のNISA非課税枠が消費されてしまいます。

2020年の非課税枠を消費して国内株式を購入したい場合は2020年12月28日(月曜日)までに注文が成立している必要があります。

なお、「国内公募投資信託」の場合は、受渡日が商品ごとに異なる場合があります。年内のNISA非課税枠を利用して「国内公募投資信託」の取引を行いたい場合は、商品ごとに年内に受渡日が到来する最終取引日をしっかりとチェックしておく必要があります。

損益通算はできない

NISAには「売却損が生じても、課税口座の売却益との損益通算ができない」というデメリットもあります。

「損益通算」とは、一定期間内の利益と損失を相殺することで、「特定口座」や「一般口座」などの課税口座で買い付けた国内株式や投資信託については、売却時に生じる売却益と売却損との「損益通算」を行うことができます。

例えば、課税口座で買い付けたA株で100万円の利益がでた一方で、B株で80万円の損失が生じたとします。この場合、損益通算を行うことで利益100万円と損失80万円とを相殺させ、合計20万円の利益として計算を行うことができます。

損益通算のメリットとしては、支払うべき税金が減額されるという点があります。上の例では、損益通算を行い売却益が100万円から20万円まで減額されたことで、支払うべき譲渡益税も100万円分から20万円分へと減税されました。

しかし、NISA口座で買い付けた商品から生じた売買損益は、損益通算の対象外となります。

例えば課税口座で買い付けたA株で100万円の利益が出た一方で、NISA口座で買い付けたB株で80万円の損失が生じた場合、A株とB株との損益通算はできないため、投資家は売却益100万円分の譲渡益税を支払う必要があります。

NISA口座は1人1口座

NISA口座は、一人につき1つの金融機関でしか申込・開設できません。例えば、ある証券会社でNISA口座を開設した場合には、他の証券会社や銀行、郵便局などで新たにNISA口座を開設することはできません。

ただし、NISAを開設している金融機関を変更することはできますが、手続きが必要になります。NISA口座の契約を他の金融機関へ変更したい場合は、変更したい年分の前年の10月1日から変更したい年分の属する年の9月30日までに、NISA口座の廃止および新たな金融機関でのNISA口座開設手続を行ってください。

また、変更したい年分の属する年の1月1日以降、変更前の金融機関のNISA口座で買付けがあった場合には、その年分については金融機関を変更できません。

つまり、一度NISA口座を開設してしまうと、他の金融機関に変更するのに相当手間と時間がかかります。どの金融機関にNISA口座を開設するかは慎重に決定する必要があります。

なお、国内株式の運用を考えている方は、NISA口座を証券会社で開設する必要があります。

今は店頭証券、ネット証券と多くの証券会社が存在します。中でもネット証券は手数料の安さなどで人気を集めています。証券会社は、手数料の安さや取扱商品の豊富さ、使い勝手など様々な側面から、自身の投資スタイルなどを慎重に考えて選ぶようにしましょう。

すでに一般口座や特定口座で保有している投資信託は移管できない

NISA口座では、新たに買い付けを行った国内株式や投資信託しか受け入れることができません。

したがって、すでに一般口座や特定口座で保有している国内株式や投資信託をNISAに組み入れることはできません。万が一、課税口座で保有している同一銘柄をNISA口座で保有したい場合は、一旦売却の上、再度NISA口座内で買い付けを行う必要があります。

また、「従業員持株会」に所属して、給与天引きで自社の株式を毎月購入して積み立てている方も要注意です。

NISAに関連して、よくある失敗として「従業員持株会で積み立てた株をNISA預かりにするために、会社指定の振替先証券会社にNISAを開設した」という例が挙げられます。

「従業員持株会」で積み立てた株式を現金化したい場合、基本的には「従業員持株会」から「企業が指定する証券会社の証券口座」に自社株式を移す必要があります。

この時、仮に振替先の証券会社でNISA口座が開設されていても、「従業員持株会」から振り替えた株式についてはNISA預かりではなく「一般口座」または「特定口座」での課税預かりとなります。

以上により、NISA口座を開設する証券会社を決める際は、従業員持株会の振替先であるか否かについて考慮する必要はありませんので、従業員持株会に所属されている方は失念されないようにご注意ください。

NISA口座はデメリット・注意点を踏まえて利用しましょう

NISAには「通常であれば約20%かかる売却益や配当等に掛かる税金がゼロになる」というメリットがあります。そのほかにも、年間上限120万円まで、国内居住の20歳以上の方なら誰でも同じ条件で利用ができ、好きなタイミングで投資・現金化ができるという点も、iDeCoやジュニアNISAなどと比べて魅力的です。

一方で、NISAにはいくつかデメリットがあり、今回はNISAのデメリットとして以下の4つを紹介しました。