前面私道を他人が単独で所有している物件

共有私道でさえ売却リスクがあるというのに、前面私道を住民と関係のない方が単独で所有しているケースは、より高いリスクとなる。そんな物件があるのかと疑問に思われる方も多いと思うが、かつて、大手業者による大規模な開発分譲地などでは、開発によって造られた道路部分が、その業者の単独名義になっているケースがあったのだ。その業者が倒産し、全くの第三者に所有権が移っている場合は、非常にやっかいな問題となる。

通常、私道には住民の権利として通行地役権は認められるので、生活する分には問題がないケースが多い。とはいえ、私道は、所有者の土地であり、道路上への建築はさすがに制限されているケースは多いものの、自動車の通行や駐車、第三者の通行を制限する権利があるとされている。さらに私道の所有者が、接道した建物の所有者でない場合は、私道の掘削や通行許可の承諾を出さない可能性は高くなる。こうなると、共有私道以上に売買価格が下がってしまうであろう。

権利関係が複雑な物件をあえて買う

通常、こういった戸建や土地を購入するのは敬遠するのだが、インカムゲインを主目的とした投資にはかえって好都合となる場合がある。銀行融資が得づらいので、ほぼ全額現金で購入しないといけないのでハードルは上がってしまうが、総予算が下がるので購入後、賃貸すれば、利回りは向上する。賃貸で借りる賃借人にとっては、権利関係は関係ないので、相場通りで貸すことができる。

一般の投資家には手を出しづらいうえに、出口戦略が取れないので万人にお勧めの方法ではないかもしれない。あくまでも不動産投資にはセオリーはないので、あえて困難な不動産を購入するという手もあるということを紹介してみた。今回紹介できなかったが、競売物件や再建築不可など、難しいゆえに利回りが出やすい不動産もある。「あえて権利関係が複雑な投資」に挑戦してみたいと思ったであろうか?

文・尾嵜 豪(株式会社ウィンドゲート・代表取締役)/ZUU online

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