「配偶者控除」の次の「配偶者特別控除」とは?

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しかし、年間103万円を超える所得があって配偶者控除が受けられない場合でも、適用される控除がもう一つあります。それが「配偶者特別控除」です。配偶者特別控除を受けるためには、

  • 納税者本人の合計所得金額が1000万円以下
  • 配偶者の合計所得金額が38万円を超え76万円未満 この2つに該当することが条件です。

    4の「青色申告者の事業専従者」とは、例えば、青色申告の事業者である夫の事業の手伝いを、妻が仕事として行っているといったケースが該当します。夫がその報酬を給与として妻に支払っていれば、妻の給与は経費として計上できるため、控除の対象外となります。

    また「白色申告者の事業専従者」も同様です。このとき、夫は年間86万円まで必要経費にすることができるため、やはり控除対象になりません。

    事業専従者の条件は、どちらも同一生計の親族で、年間6カ月以上仕事に従事していることです。配偶者が事業主で、ときどきバイト感覚で手伝いをしているような場合は、自分が事業専従者であるかどうか確認しておきましょう。

    配偶者控除は「103万円の壁」から「150万円の壁」へ

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一見、よく配慮された制度と思える配偶者控除ですが、「103万円の壁」があるために、この金額を超えないよう働く日数や時間を調整する女性が多いことも事実。近年、それが女性の社会進出を妨げているのではないか、また、時代遅れなのではないかという意見が噴出しました。

もともと配偶者控除は、「夫が家計を支え、妻は家庭を支える」ことが前提であった時代につくられた制度です 。しかし、内閣府の2015年版「男女共同参画白書」によると、共働き世帯と専業主婦世帯の割合は6:4と逆転しています。今では、夫婦共働き世帯が一般的になっている と十分言えますね。

2016年に、配偶者控除を廃止して新たに夫婦控除を設けるという案が出て話題になりました。結果はといえば、配偶者控除を103万円から150万円に引き上げる法案が国会を通過し、あわせて、配偶者の所得が38万円を超え76万円未満だった場合に受けられる「配偶者特別控除」の金額も、141万円から201万円に引き上げられることが決定しました。新たな控除は、2018年1月1日~12月31日の所得から対象となります。

ちなみに、配偶者特別控除は配偶者自身の年収に合わせて徐々に減額されていく仕組み。新制度では世帯主の年収を3段階に分けてかけられる制限が加わりました。例えば、妻の年収が150万を超えたとき、妻だけでなく夫の収入によっても控除額は変化します。 

結婚しても変わらず正社員として働き続ける女性がいる一方で、結婚や出産を機に、退職や働き方を変える人もいます。それによって税金はどう変化するのか、配偶者控除の仕組みとともに、しっかり認識しておきたいところですね。