「自筆証書遺言」で多いトラブルは?
「自筆証書遺言」に関する主なトラブルは、「形式の不備」「相続財産のもれ」「遺言書が古い」の3つだ。
まず「形式の不備」は、前述したように、民法で要件、形式が規定されていて、その中の一つでも不備があると、「無効」になってしまう。特に、専門家のアドバイスを受けず、我流で作成してしまうと、この可能性が高い。
例えば、一字でも手書きではない、署名はしたが押印を忘れた、規定どおりの訂正をしていない、などが代表的な不備である。
次に「相続財産のもれ」だが、遺言書では、「○○を△△に相続させる」などと、相続財産の処分を細かく記載することになるが、いくつか相続財産を失念する例も多い。特に、不動産や預貯金などの場合、トラブルに発展することも少なくない。
相続財産の記入漏れを見越して、「以上を除く残余の遺産は全て妻○○に相続させる」などの文言を入れておくなどの措置が必要である。
そして「遺言書が古い」だが、5年、10年経つと、相続財産の状況も変わってくる。また、相続人の状況も変わってくる可能性もある。例えば、遺言書に記載している相続人が遺言者よりも先に亡くなった、遺言者に新たに子どもが生まれて相続人が増えた、などである。
「自筆証書遺言」の場合、できれば1年ごとに記載した内容を見直し、書き換えるのが望ましい。
まず財産目録を作ること
「自筆証書遺言」の作成で、まず注意すべきこととしては、「財産目録」をきちんと作ることである。「自筆証書遺言」でトラブルが起きるか否かは、この点に負うところが大きい。不動産については、「固定資産税」の支払通知書、預貯金については通帳を基にリストアップすれば、漏れが少ないはずだ。
相続人については、遺言書作成時点で漏れることは考えにくいが、念のため「戸籍謄本」を出生から今までの分を全て取り寄せることをお勧めする。実際に、相続が開始されれば、被相続人の「戸籍謄本」が必要になってくるので、一石二鳥である。
また自分で原案を作った後に、できれば専門家に見せて、内容や形式に不備がないかなどのアドバイスを受ける方が良い。
他人に内容を見られることなく、しかも安価で手軽に作成できるため、「公正証書遺言」よりも作成のハードルは低い。しかし逆に慎重に作成しないとせっかく作った遺言書が、トラブルを引き起こす元となってしまう。「相続」が「争族」になっては元も子もない。
文・井上通夫(行政書士)/ZUU online
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