4.投資信託にかかるコスト

投資信託にはさまざまなコストがかかり、商品ごとにその大きさは異なります。長期間運用を行っていく場合には利回りにも影響してくることがありますので、投資信託は期待利回りの他にコストも確認したうえで商品を選ぶことが重要です。ここでは投資信託にかかる主なコストについてお伝えします。

投資信託にかかるコスト1:購入時手数料

投資信託を購入する都度かかる手数料です。商品ごとに購入価額の一定割合を販売会社に支払うことになるため、特に積立投資を行う場合には、この手数料を確認する必要があります。

なお投資信託によってはこの費用がかからない「ノーロード」の商品があるので、ノーロードの投資信託に絞って投資をするというのも選択肢の1つです。

投資信託にかかるコスト2:信託報酬

投資信託は運用を自身に代わって運用会社に任せているため、その運用コストとして信託報酬がかかります。投資信託を保有している間にかかる費用で、保有額に応じて支払うことになります。年率でいくら支払うのかが販売資料や目論見書などに記載されているので、このコストがどれくらいかかるのかもチェックする必要があります。

一般的に、インデックスファンドよりもアクティブファンドのほうが信託報酬は高くなります。アクティブファンドはインデックスファンドを上回る運用を目指しているため、ファンド内の投資銘柄の入れ替えなどをインデックスファンドよりも頻繁に行います。入れ替え頻度が多いぶん売買コストがかかる場合があるため、信託報酬が高めに設定されているケースがあります。

アクティブファンドに投資する場合にはこの信託報酬のほか、インデックスファンドと比較して運用パフォーマンスが高いのかを確認する必要があります。高い信託報酬を負担するだけのリターンを得られるファンドなのか、信託報酬を考慮してもインデックスファンドよりも投資する価値があるのか、といった点を考慮して投資判断することが重要です。

投資信託にかかるコスト3:信託財産留保額

投資信託を売却・解約するときにかかる手数料です。購入時手数料と同様に、この手数料がかからない投資信託もあるので、こちらも販売資料などで事前に確認しておく必要があります。

投資信託にかかるコスト4:税金

投資信託の売却益と普通分配金に対しては、所得税・住民税合わせて20.315%の税金がかかります。NISA口座やiDeCoは税金がかかりませんが、特定口座と一般口座で取引をする場合には税金もコストの一つとなります。利回りにも影響しますので、税金を考慮した利回りの確認も必要です。

このように、投資信託にはさまざまなコストがかかりますが、長期間運用を行う場合に意識しておきたいのは信託報酬です。保有している限りこのコストは毎年かかり、投資信託のパフォーマンスにも影響します。投資信託はリスクとリターンと合わせて、信託報酬も意識して選ぶことが重要です。

5.投資信託を選ぶ際の4つの注意点

投資においてリスクとリターンは連動しています。大きなリターンを得たい場合はリスクも大きくとる必要があり、リスクを取りたくない場合にはリターンも少なめになります。どれくらいリスクを取るかは人によって異なりますが、大切なのはリスクとリターンのバランスを確認して「利回り」の目標を立てることです。そして、以下に着目して投資信託の銘柄を選びましょう。

▽投資信託を選ぶ際の注意点

・利回りとリスクのバランスは取れているか
・利回りとコストのバランスは取れているか
・純資産額が増えており安定成長しているか
・5年以上継続して高い利回りを維持できているか

まとめ:リスクとリターンを理解して、最適な投資信託を見つけよう

いかがでしたか。この記事では投資信託の平均利回り、リターン、リスク、コストについて説明しました。

・投資信託の年利「目標」は3%~5%程度からにする(初心者はさらに低めに手堅く)
・投資信託の目標利回りは、投資の目的を具体的にはっきりさせて決める
・投資信託のリターンとリスク、コストのバランスを考える

投資しようとしている投資信託にどのようなリスクがあるのかがわかるようになれば、商品選択の幅も広がります。また、個別の投資信託のリスクと過去のリターンを確認すれば、今後どのような投資信託で運用をしていけばよいのかがイメージできます。その後に具体的な投資信託を当てはめていけば、自身のポートフォリオが作成できるでしょう。この記事を参考に、目標を達成できる投資方法を見つけていただければと思います。

文・澤田
所属・FP事務所FP EYE代表
1971年生まれ、東京都出身。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中

提供・ANA Financial Journal

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