暑いですね!外にいると、何もしてなくても汗をかいてしまいます。
「汗をかいたら、水分だけじゃなくて塩分やミネラルも補給しよう!」とよく言われますね。
でも、そもそも、汗には塩分がどの程度含まれているのでしょうか?ちゃんと把握している人はほとんどいないと思います。
また、塩分以外のミネラル(カリウムやカルシウムなど)はどの程度含まれているのでしょうか?この量を知らないと、適切な栄養補給ができません。
今日は、汗の成分について調べてみました!
汗とは?
汗は、皮膚にある「汗腺」から出ます。
「汗腺」には、「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。
エクリン腺
エクリン腺は、
・全身(のほとんど)に分布しています。
・分泌される汗は、無味無臭です。
・主に体温調節のために汗を出す汗腺です。
アポクリン腺
アポクリン腺は、
・特にワキの下に多く分布しています。
・乳白色であり、脂質やタンパク質など、ニオイのもととなる成分を多く含んでいます。
(ワキガ臭の原因にもなります)
・元来、フェロモンの役割を果たしていたと言われています。
汗の要因
汗をかく要因は、主に3つあります!
1.温熱性発汗
「温熱性発汗」は、暑い時や運動をした時に、上昇した体温を下げるための汗です。
タイミング:暑い時や運動した時
部位:全身(手のひら、足のうらを除く)
種類:エクリン腺
2.精神性発汗
「精神性発汗」は、ストレスや緊張などの精神的な刺激によってかく汗です。
※”手に汗をかく”や ”冷や汗をかく”という言葉は、この「精神性発汗」のことです。
タイミング:人前に出て緊張した時や驚いた時
部位:ワキ、手のひら、足の裏など
種類:エクリン腺、アポクリン腺
3.味覚性発汗
「味覚性発汗」は、辛いものや酸っぱいものを食べた時にかく汗です。
(味覚の刺激によって反射的に起こります。食べ終わると汗もひきます)
タイミング:辛いもの、酸っぱいを食べた時
部位:特に額や鼻など
種類:エクリン腺
ひとことで「汗」と言っても、いろいろな汗があるんですね!
汗の成分とは?
エクリン腺から出る汗の成分のうち、約99%が水分と言われています。
では、残りの成分は何でしょうか?
以下の文献
Montain, S. J.ら(2007) “Sweat mineral-element responses during 7 h of exercise-heat stress”. International journal of sport nutrition and exercise metabolism 17 (6): 574–582.
によると、汗の成分(陽イオン)は
ナトリウム:863mg/L
カリウム:222mg/L
カルシウム:16mg/L
マグネシウム:1.3mg/L
と記載があります。
また、川本裕大らによる文献 “発汗で失われるイオンとスポーツドリンク” によると、
汗の陽イオンの割合は、
ナトリウム:51%
カリウム:30%
アンモニウム:15%
カルシウム:4%
マグネシウム:0.4%
と記載があります。
上記2つの文献結果の値のバランスは概ね同じであり、どちらの文献の値も、妥当であると考えられます。
(ちなみに、汗の成分の陰イオンは、ほぼ塩化物イオンのようです)
というわけで、具体的な数値のあるMontain, S. J.らの論文の値を基に考えてみることとします!
汗の成分は、基本的にほぼナトリウム(食塩)だと思っていましたが、実は、カリウムも結構入っているんですね!
汗の食塩濃度
まず、汗に含まれる食塩濃度を計算してみましょう。
ナトリウムの濃度は863mg/Lと報告されています。
これを、%で換算すると、0.0863%となります。
これを食塩濃度に換算すると、
0.0863×2.54=0.22%
となります。
ヒトの体内(血液中)の食塩濃度は、0.85~0.90%ですので、汗の食塩濃度は、体内の食塩濃度の約1/4、と言えますね!
※味噌汁に含まれる食塩濃度も、ヒトの体内の食塩濃度と同じく、0.85~0.90%と言われています。なので、汗の塩分は、味噌汁の塩分の約1/4、とも言えます!
運動してかく汗の量は?
大塚製薬HPによると、スポーツや運動でかく汗の量について以下の記載があります。
スポーツの種類によって、かなり違いますね!
今回は、だいたい平均をとって、2000gの汗をかいた時に失われる成分の量を計算してみることとします!