カギは「日本人ニッチ観光客」

韓国は狭い国土に大手航空会社2社とLCC(格安航空会社)6社がひしめいている。韓国LCCで最大の就航路線を持つ、ティーウエイ航空の2016年12月1日搭乗分の仁川空港発関西空港行き片道航空券は68000KRW(約6800円)からあり、ソウル発青島行きも58000KRW(約5800円)から利用できる。アシアナ航空のソウル発済州島行き46100KRWと比較すると安さが際立つだろう。

一時期、ソウルの富裕層の間で免税目的の対馬旅行が注目を浴びた。海外に出かける人は免税店で買物をすると、10%の付加価値税が免除される。市内免税店で300万KRWの買物をすると30万KRWの税金が免除されるが、韓国に最も近い対馬ツアーは時期によっては20万KRW以下となる。税関が免税で出国した人を追跡し、短期間で帰国する韓国人から税金を徴収するまで続いた。

日本人は訪韓外国人の3割以上を占め、円高が進んだ2005年や2009年には訪韓外国人の4割に達したが、2012年から変化が訪れた。2012年8月に李明博前大統領が韓国の大統領としてはじめて竹島に上陸、翌2013年に就任した朴槿恵大統領は反日外交を繰り返したことで、日韓関係は一気に冷却し、年間250万人から300万人前後で推移してきた訪韓日本人は200万人を割り込むまで減少した。

入れ替わりに中国人観光客が増加。2013年に訪韓日本人を抜いて、2015年には約700万人と訪韓外国人1458万人の半数近くを占めるようになったが、爆買いで潤っているのは大手免税店くらいで、観光赤字の解消には役立っていない。

韓国観光公社の日本チームは、日本人ニッチ観光客の誘致がカギになるという。2015年には日本から合唱団を誘致。合同演奏を行う合唱団や演奏会場を観光公社が支援した。鉄道ファンにも注目している。韓国鉄道公社路線の全線走破は比較的容易だが、韓国は鉄道ファンが少なく、鉄道模型も多くが日本からの輸入品である。日本からの誘客がポイントになるだろう。

渓流釣りも注目ポイントだ。日本の鮎釣り人口はピーク時の1500万人から700万人まで減少。年最低30~50万円以上といわれるコストに見合う釣果がないとやめてしまう人が多いが、川魚を食べる習慣がない韓国は天然鮎の宝庫である。毎年1月に江原道華川で開催するヤマメ祭の会場で供されるヤマメ料理を楽しむのは地元関係者と日本人くらいである。

民泊も隠れたスポットだ。伝統韓屋で有名な全州や世界遺産の安東河回村、全羅南道順天の楽安邑城民俗村など、伝統家屋に宿泊する民泊は貴重な体験である。

20代から40代の韓国の消費を牽引する世代は、日本のトレンドに高い関心を示す人が少なくない。訪韓する日本人ニッチ観光客を通じて、韓国消費者層の再発見を促すことは、ひとつのカギになるだろう。

文・佐々木和義(CFP®)/ZUU online

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