新型コロナウイルスの影響で、今までとは違う働き方を求められた方も多かったのではないでしょうか。なかには、仕事を休むよう言われたり残業がなくなったりして給料が減った、解雇されて仕事を失った方もいます。コロナ失業で金銭的にピンチに陥ってしまったTさんの事例を見てみましょう。

新型コロナで会社の業績が大幅ダウン→失業!

インバウンド向けの宿泊施設で働いていたTさん。会社は新型コロナで大打撃を受け、仕事がまったくない状態になってしまいます。しばらくは「休職」という形をとっていましたが、なかなか客足や業績の回復が見込めず、会社から「退職」を促されることに……。

やむなく退職して次の仕事を探すことにしましたが、好きだった宿泊業の求人はほとんどなく、別の業界の仕事も見てみるもののあまりピンとくる仕事がありません。

なんとか見つけて応募した仕事も、48歳で今まで宿泊業一筋、他業界は「未経験」となるTさんは書類選考で落ちてばかりで、なかなか転職活動がうまくいかない状態です。

Tさんは独身のため、老後を1人で生き抜けるようにと今までコツコツと貯金をしてきました。「老後は自分で小さな宿を経営するのもいいかも」という考えもあり、理想の将来のためにがんばっていたところでした。

それなのに、突然失業してしまって次も見つからないまま時が過ぎ、今までの貯金が日々減っていく現状。いつも明るい性格のTさんですが、今回のことで相当なショックを受け、少なくなっていく貯金残高を眺めては絶望的な気持ちにさいなまれています。

新型コロナで仕事がなくなった場合の支援策

仕事を失った場合、国や自治体などのさまざまな支援制度を利用できます。「新型コロナウイルスの影響」であれば、平時よりも利用しやすかったり支援金額が大きくなったりするものもありますので調べてみましょう。使える制度には、たとえば以下のようなものがあります。

どんなとき? どんな内容? どこに申請する?
失業手当
(雇用保険の基本手当)
失業して求職中のとき 離職前の給料の50%~
80%を支給
ハローワーク
公共職業訓練
求職者支援訓練
求職中のとき 就職のための職業訓練を
無料で受講可能
ハローワーク
住宅確保給付金 家賃が払えず住居を失う
可能性があるとき
家賃額を支給
(原則3ヵ月間)
自治体の自立相談
支援機関
緊急小口資金・
総合支援資金
生活費が足りず
困窮しているとき
無利子・保証人不要で
お金を借りられる
市区町村の
社会福祉協議会
生活困窮者自立支援制度 生活保護が必要になる
一歩手前の状態のとき
就労支援、衣食住の支援、
家計改善支援など
自治体の窓口や
自立相談支援機関

今を生き抜くためにも老後のためにも貯蓄は必要

Tさんのように、老後のための貯金が予期せぬ失業でみるみるうちに減っていってしまったら、誰でも焦りや不安を感じるでしょう。でも、それまできちんと貯金をしてきていたおかげで、即座に家計が回らなくなって生活が困窮する事態にはならずに済んだとも考えられます。

貯蓄は、今を生き抜くためにも、老後のためにも、何か実現したいことができたときにも、常に役立ちます。日頃からお金を使い過ぎることなく貯蓄をしておいて、緊急事態にはそれを使ったり国や自治体の支援制度を使ったりしながらなんとかしのぎましょう。

「貯金が少ない=老後が絶望的」というわけではありません。あきらめずに、まだできることを探してこのピンチを乗り切りましょう。

文・ばばえりFP事務所代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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