隣人の騒音にどう対処するか?

ところで、Aさんからの相談に対して、筆者は3つのことを申し上げた。

まず、「マンションの利用規約はどうなっていますか?」ということ。ご存じのように、それぞれの賃貸物件には、日々生活する上で守らなければいけない決まりがある。多くの場合、マンションの「賃貸借契約」を結ぶときに、仲介業者等から説明があるはずだ。

その中には、部屋(物件)の使い方、共用部分(玄関、廊下等)の使い方、ゴミ・廃棄物の処理方法、禁止事項(ペットの飼育等)、そして一般的遵守事項がある。特に最後の項目である一般的遵守事項では、テレビや楽器等の音量や生活音(ドアの開閉、話し声等)に関する注意が喚起されている。

「利用規約」に「音に関する遵守事項」が記載されていることを確認した上で、2つ目に申し上げたことは、「マンションの管理会社に相談してください」ということだ。

いきなり、当事者(隣人)に物申すことは、トラブルの種をまくことになる。そこで、1~2週間位様子を見た上で、「何日の何時頃に、どのような音(声)がしたか?」ということを記録に取り、そのことを管理会社の担当者に伝え、何らかの対策を取ってほしいとお願いをする。その際に、担当者の名前を必ず確認しておくのだ。

ただ相談を受けた担当者が、騒音の源である隣人に直接注意することは、ほとんどの場合、ない。マンションの掲示板等に注意喚起を促す張り紙を貼る程度である。このことで、直ぐに効果が表れるかはやや疑問だが、それでも「隣人の音がうるさい→管理会社(担当者)に伝える→担当者が注意喚起する」と、最も筋が通った方法だろう。

3つ目に伝えたことは、それでも改善されない場合、マンションの大家さんに現状を伝えてはどうかということだ。「賃貸借契約」では、借主と大家さん(貸主)が直接契約をしているはずなので、借主が隣人の騒音のために快適な生活が送られない、隣人が決まりを守っていないということは、最終的に大家さんの責任ということになる。

ただ理屈はそうだが、多くの場合「マンションの管理は管理会社に任せている」とする貸主(大家さん)がほとんど。賃貸借契約、マンションの管理等の煩雑な事柄に直接関与したくないからこそ、管理会社に依頼しているという側面もある。

この方法は大家さんと面識があるなどの特別な場合を除いて、避けたほうが賢明だろう。

隣人の騒音について、対策と言えるものは先に掲げたような方法だ。結局、これと言った即効性のある方法はないのが現状である。

管理会社の担当者に、1回相談しただけでは隣人騒音が解消されることは、まずないと思うので、コンスタントに連絡、相談されることをお勧めしたい。

ただし問題が解消されないからと言って、直接隣人にクレームを言うことだけは避けたほうがいい。場合によっては、想定外の事態に発展する可能性がある。

文・井上通夫(行政書士)/ZUU online

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