相続税対策をする前に確認しておきたい制度

6相続税対策に不動産がいいその理由とは?
(画像=maroke/stock.adobe.com,『UpU』より引用)

ここまで述べたとおり、現金を不動産に変えることは相続税対策の1つですが、ほかにも相続税対策として利用できる制度があります。それぞれの内容を理解し、使える制度は利用するようにしましょう。

住宅資金贈与制度

住宅の購入にあたる資金の贈与を父母や祖父母などの直系尊属から受けた際に受けることができる制度で、2021年12月31日までに受けた贈与について適用されます。

住宅を消費税率10%で購入した場合、契約締結日や住宅の形態によって異なりますが、最大1,500万円の非課税枠を利用することができます。非課税の適用を受けるためには受贈者の年齢や所得金額などさまざまな要件を満たす必要があります。

配偶者贈与制度

正式名称を「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」といい、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産、または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できるという特例が設けられています。こちらについても適用の際には要件を満たす必要があります。

小規模宅地等の特例

亡くなった人が住んでいた土地などについて、一定の要件を満たす人が相続した際に、その土地の評価額を最大80%減額できる特例です。対象となる土地には、居住用の土地だけでなく事業用の土地も含めることができます。

地積規模の大きな宅地の評価

首都圏・中京圏・近畿圏の三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地において、要件を満たした場合にその評価額が減額される制度です。

相次相続控除

相続が10年以内に2回以上起こった場合において、要件を満たすことで相続税額を控除することができます。

相続時精算課税制度

原則として60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対し、財産を生前贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。贈与時には2,500万円の特別控除があります。その後、相続税の計算時に贈与税の精算を行います。

選択時には申告書を税務署に提出する必要があります。また、選択後は暦年課税の一環である年間110万円の贈与税非課税枠を利用することができなくなります。

相続の際の手続き

7相続税対策に不動産がいいその理由とは?
(画像=mapo/stock.adobe.com,『UpU』より引用)

不動産を相続する場合、相続登記を行う必要があります。内容は所有権変更登記ですが、その手続きには「不動産の情報」、「相続人全員の戸籍謄本」などさまざまな書類が必要となります。

さらに、不動産を含む相続財産の合計評価額が適用可能な控除合計額を超えている場合は、相続税の申告を行わなければなりません。相続税の申告期限は、相続開始を知った日(死亡日)の翌日から10ヵ月以内であり、相続税の納付もこの期限内に行う必要があります。

相続税対策はできるだけ早めに行うことが大切

相続は非常にシビアな問題ですが、自分が亡くなった後の相続が「争族」にならないように対策を練っておくことは、相続人を思いやることにもつながります。そういった意味でも、対策については可能な限り早めに始めておきましょう。

新井 智美(あらい・ともみ)
トータルマネーコンサルタント
CFP®、一級FP技能士(資産運用)、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員 個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

提供・UpU

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