マイナス思考が膨れ上がって、振り払えずに落ち込んでしまうことがあります。マイナス思考は振り払おうとすればするほど頭から離れなくなってしまうという特徴も。そこで、今回はマイナス思考を小さくしてくれる「ストップ法」という心理療法をご紹介します。
マイナス思考が頭の中で膨れ上がって、振り払えないことがあります。そればかりでなく、マイナス思考を振り払おうとするほど頭から離れなくなってしまいます。そこで、マイナス思考を小さくする「ストップ法」というスキルを紹介します。
マイナス思考の例
マイナス思考には次のようなものがあります。
「自分は周囲から嫌われてしまったんじゃないか」
「会社をクビになるんじゃないか」
「自分はバカにされているんじゃないか」
「自分は何の役にも立たない人間だ」
「こんな仕事を任される資格などない」
「あの場面で、あんなことを言うんではなかった」
「恥ずかしいことをしてしまった」
このようなストレス場面に追い込まれたときに行うのは、ただ一言、心の中で「ストップ!」と言うだけです。
否定するほどマイナス思考に囚われてしまう理由
理由のないマイナス思考ですが、「そんなことはない」と否定すれば否定するほど、そのことが頭から離れなくなってしまいます。マイナス思考が頭から離れなくなってしまう現象について考えてみましょう。 この現象に関係するアメリカのウェグナーという心理学者が行った実験を紹介します。ウェグナーは実験への参加者(被験者)たちを3つのグループに分け、シロクマの映像を見せました。そして、それぞれのグループに次のように言い渡しました。
1 映像のことを覚えておいてください。
2 映像のことを考えても考えなくても良いです。
3 映像のことは絶対に考えないでください。
そして、1年後、この映像を覚えていたのは、どのグループだったでしょうか? 実は、絶対に考えてはいけないと言われたグループの人たちでした。このように、考えないようにしようとすればするほど強く思い出されてしまうのです。
私たちには、禁止されたことに反発する心理があります。これを「心理的リアクタンス」といいます。リアクタンスとは反抗を意味します。 洋の東西を問わず、心理的リアクタンスに関する逸話が残されており、この心理の強さを物語っています。 例えば、アダムとイヴは神が禁止したにも関わらず、禁断の実のリンゴを食べて楽園を追い出されてしまいます。「鶴の恩返し」では、若者の「よひょう」は鶴の化身の「つう」から隣の部屋を覗くことを禁止されたのにもかかわらず約束を守れませんでした。浦島太郎は禁止されたにも関わらず、玉手箱を開けて、年老いてしまいます。
ストップ法(思考停止法)
このようなマイナス思考を軽くさせる方法が“ストップ法”です。別名、思考停止法という心理療法です。
どんなに嫌な考えが頭の中を支配していても、「ストップ!」と心の中でつぶやくだけで、その考えが小さくなっていきます。記憶がなくなるわけではありませんので、嫌な考えがなくなるというより、一瞬にしてスーッと小さくなり軽くなっていきます。