iDeCoに加入している場合としていない場合の税金の差は?

(写真=Roman Samborskyi/Shutterstock.com)

同じ収入でiDeCoに加入している場合と加入していない場合で、どのくらい税金に違いが出るのでしょう。

以下の条件で、計算してみましょう。iDeCoの掛け金は月2万円(年24万円)に設定します。

税込年収:500万円
居住地:東京都
扶養家族:0人
職業:会社員
社会保険料等控除:90万円として計算(基礎控除を含む)
生命保険料控除:一般の生命保険4万円+医療保険4万円=8万円

まずは「課税所得」を計算してみよう

課税される所得を計算してみましょう。

iDeCoに未加入の場合は【未加入】、加入している場合は【加入】として、それぞれ計算していきます。

1.税込年収から会社員の必要経費としての給与所得控除を差し引き、給与所得控除後の金額を計算します。

【未加入】500万円—(500万円×30%+18万円)=332万円
【加入】500万円—(500万円×30%+18万円)=332万円

この金額は変わりませんね。

2.給与所得控除後の1.の金額から社会保険料等控除を90万円として差し引きます

【未加入】332万円—90万円=242万円
【加入】332万円—90万円=242万円

ここまでは変わりませんが、次以降から注意して見ていきましょう。

3.さきほど2.で出した生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除、小規模企業共済等掛金控除を差し引き、課税所得を計算します。

【未加入】242万円—8万円(生命保険料控除)=234万円
【加入】242万円—8万円(生命保険料控除)—24万円(iDeCoの掛金控除)=210万円
※iDeCoの掛金控除は「小規模企業共済等掛金控除」となります。

「所得税」と「住民税」の納税額を計算しよう

課税所得が出たところで、所得税と住民税の納税額を計算してみましょう。

・所得税
まずは所得税から。

納税額は国税庁のHPで見ることができます。

さきほど3.で出した課税所得が【未加入】は234万円と【加入】は210万円なので、「195万円を超え330万円以下」の場合を見ていきます。

「195万円を超え330万円以下」の場合の税率は10%、控除額は9万7500円になります。

【未加入】所得税=234万円×10%—9万7500円=13万6500円
【加入】所得税=210万円×10%—9万7500円=11万2500円

所得税の差額は、2万4000円になりました。

・住民税
次に、住民税を見ていきます。
課税所得に住民税率をかけると、納税額が算出されます。

【未加入】住民税=234万円×10%(住民税の所得割率)+5000円(住民税の均等割分)=23万9000円
【加入】住民税=210万円×10%(住民税の所得割率)+5000円(住民税の均等割分)=21万5000円

住民税の差額も2万4000円になりました。

所得税と住民税の差額を足すと4万8000円になり、iDeCoに加入している場合は所得控除で年間4万8000円のメリットが受けられることが分かります。

例えば、40歳でiDeCoに加入し、60歳まで20年間にわたり掛金を払い込んだ場合は、4万8000円×20=96万円の節税になるという訳です。

さらに、iDeCoの運用益には税金がかかりません。

通常の定期預金や普通預金の利子、投資信託などの運用益には20.315%の税金がかかるので、同じ金額を運用したとしても運用益から20.315%の税金が必ず引かれてしまいます。

定期預金や投資信託を同じように運用してもiDeCoを利用するだけで、運用益のすべてを老後の年金資金にあてることができるのです。