夜間取引とは、証券取引所の立会時間外に取引所を介さずに株式を売買すること。PTSとは「Proprietary Trading System」(私設取引システム)の略で、証券取引所の通常の取引時間外に取引できるシステムのことだ。夜間もあれば、前場と後場の間、取引所の営業が始まる前の朝も対象だ。
夜間取引の時間帯は?――大引け後でも取引できる
夜間取引とはその名の通り、対象となる時間帯は夕方から深夜までの夜間だ。2018年11月時点で夜間取引サービスを提供している証券会社は、SBI証券と松井証券の2社だけである。両社とも、唯一夜間に取引を行っているSBIジャパンネクスト証券運営のジャパンネクストPTSナイトタイム・セッションに接続して取引を行っている。
ジャパンネクストPTSナイトタイム・セッションの時間帯は16:30~23:59と定められているが、SBI証券と松井証券では取引開始時間が異なる。取引したい時間に注文できる証券会社であることを確認してから取引を開始してほしい。
「PTS取引」は取引所を介さない私設取引システム
夜間取引の舞台となるPTSナイトタイム・セッションとはどのような取引なのか、そもそもPTS取引とはどのような取引なのかを理解しておきたい。
証券取引所の売買立会時間は前場が9:00~11:30、後場は12:30~15:00で、それ以外の時間には原則的に取引は行われない。売買立会前や昼休み、あるいは大引け後のような証券取引所の立会時間外でも、一般投資家が株式などを売買できる仕組みがPTSである。このコンピュータ・ネットワーク・システムは、1998年の証券取引法が改正され、取引所集中義務が撤廃されたことで実現したもので、証券会社が独自に運営している。
2018年11月時点で、日本のPTSはSBIジャパンネクスト証券が運営するジャパンネクストPTSと、チャイエックス・ジャパン運営のチャイエックスPTSの2つだけである。
ジャパンネクストPTSの市場は従来からある第1市場を「J-Market」と呼んでおり、デイタイム・セッションの取引時間は8:20~16:00、ナイトタイム・セッションの取引時間は16:30~23:59となっている。一般投資家対象の第2市場「X-Market」はデイタイム・セッションのみの取引で、独自の単位で取引するJ-Marketとは異なり、取引所と同じ「呼び値」の刻みで取引する。SOR(スマート・オーダー・ルーティング:最良の市場を選択して注文を執行する)判定された場合のみ、取り次いで取引する。
チャイエックスPTSでは、投資家の参加者要件・呼び値・手数料率が異なるChi-AlphaとChi-Selectの2市場がある。現在両市場とも、8:00~16:00のデイタイム・セッションのみ取引が行われている。
つまり、PTSデイタイム・セッションなら証券取引所の前場開始前や前場・後場の間の休憩時間、後場終了後から16:00までの時間帯でも売買が可能で、さらにPTSナイトタイム・セッションであれば、立会時間外の16:30~23:59まで売買することもできる。夜間取引やPTS取引が注目されるのは、こうした証券取引所の立会時間外でも売買できるというメリットがあるからだ。