どんなファンドが選ばれたのか―アクティブ・ファンド

アクティブ・ファンドの場合、インデックス・ファンドの条件に加えて以下も満たす必要がある。

  • 純資産総額が50億円以上である
  • 信託期間が5年以上経過している
  • 信託期間中の3分の2以上が資金流入超である アクティブ・ファンドでは、一時の人気や営業努力で多額の資金を集め、数年後に資金流出が続くケースが少なくない。よって投資家から継続的に選択・支持されており、積立投資に相応しいファンドを絞り込むための条件が課せられている。

    アクティブ・ファンドでは、過去の実績が重視される。特に3つ目の「信託期間中の3分の2以上が資金流入超である」という条件をクリアできるファンドは多くない。

    この高い基準を満たしたアクティブ・ファンドとして、つみたてNISAの対象ファンドとなったのはわずか17本である。(2018年10月31日現在)

    なお、インデックス・ファンド、アクティブ・ファンドの他に、ETF(上場投資信託)も条件を満たす場合、つみたてNISAの対象ファンドとなる。しかし、対象は3本(2018年10月31日現在)であり、対応する金融機関も非常に限られるため、ここでの説明は割愛する。

    対象に選ばれるため販売手数料を0にしたファンドも

    つみたてNISAの対象ファンドとなるには、上記の条件を満たしたのちに金融庁に届け出る必要がある。

    つみたてNISAのファンドは高い条件をクリアしたファンドが選ばれているのは事実だが、クリアしていたのはあくまで届け出時点であって、それ以前から条件をクリアし投資家から支持を集めていたとは限らない。

    もともと販売手数料が0ではなかったファンドが0にしたことでつみたてNISAの条件をクリアしたケースや、つみたてNISAの条件を満たす目的で信託報酬を引き下げたファンドもある。また、確定拠出年金(DC)専用のファンドから一般販売に転用して条件を満たしたファンドも存在する。

    一方、以前から条件を満たしているファンドであっても、意図的に金融庁に届け出ず、つみたてNISAの対象ファンドにならなかったケースもある。

    少し話は逸れたが、つみたてNISAの対象ファンドすべてが、以前から条件をクリアし投資家に支持され続けてきたファンドとは限らない。あくまで、届け出時に条件をクリアしたに過ぎない。長期の積立投資に適したファンドは、つみたてNISAの対象ファンド以外にもあることも覚えておきたい。

    ファンドの何を見て選べば良いのか

    つみたてNISA制度と金融庁の「お墨付き」ファンドとなるための条件について見てきた。積立投資に相応しい厳しい条件をクリアしたファンドが選ばれており、投資家にとっても選択しやすい環境であると言える。

    投資初心者に優しい制度とも言えるだろう。だが、150本程度に絞り込まれているとはいえ、経験の浅い投資家や初心者の場合、最初に投資するファンドを決めるのは大変な作業だ。何をポイントに最終決定すればいいのだろうか。

    ファンドの選定の際には各種の手数料(信託報酬や販売手数料)や純資産総額、資金の流出入などが重視されるが、つみたてNISAの対象ファンドは既に一定の条件をクリアしているので、その他にポイントとなる点を考えたい。

    インデックス・ファンドの場合、一般に信託報酬は低ければ低いほど良いとされる。そのため、つみたてNISAの対象ファンドのうち同じ指数に連動するファンドであれば、信託報酬ができるだけ低いものを選ぶべきだろう。

    インデックス・ファンドを積立投資する場合に最も重要なのは、どの指数に投資をしたいのかだろう。日本国内にも指数は数種類あり、海外の指数や複数の指数を組み合わせた様々なインデックス・ファンドが存在する。

    初心者であれば、比較的身近な日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に連動するものを少額から始めるのがいいだろう。投資の第一歩にもなり、株価への関心や理解も深まってくるはずだ。