(本記事は、高橋輝行氏の著書『頭の悪い伝え方 頭のいい伝え方』、アスコム、2018年10月1日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
【『頭の悪い伝え方 頭のいい伝え方』シリーズ】
(1)「モテる人」は更にこれでトクをしている
(2)伝え方で損をするのはこんな人
(3)「自分が話したいことだけを話す人」への対処方法とは?
「自分が話したいことを話すだけの人」「相手の立場になって考えられない人」には、適度に距離を置いて対処する
最初に、「相手の立場になって考えることができない人」についてお話しします。
このタイプの人の伝え方には、次のような特徴があります。
- 前置きで相手の関心の度合いを探ったり、途中で相手の様子や理解度を確認したりすることなく、ひたすら自分の言いたいこと、「言わなきゃいけない」と思っていることだけを話す
- 話にタイトルをつけたり、「ちょい出し」をしたりといった工夫をせず、ゴールやテーマの見えない話を延々と続ける
構成や順序がめちゃくちゃで、こそあど言葉や専門用語などを多用しており、話の内容がわかりにくい 商品に興味を持たせる工夫もせず、よくわからない専門用語を使いながら、長々と商品の説明を続けるセールスマン。
何人かで楽しく会話をしているときに、流れを無視して、自分のしたい話ばかりする友人。
「この間のあれ、どうなった?」「そうそう、あの資料作っておいて」など、わかりにくい指示ばかり出す上司。
あなたの周りにも、こうした人がいるのではないでしょうか。
会話においても、スピーチやプレゼンにおいても、人が何かを伝えようとするとき、「いかに相手の興味をひき、それを持続させるか」「いかに相手がストレスなく話を聞くことができるようにするか」は非常に重要です。
ところが、「相手の立場になって考えることができない人」の伝え方は、これとは真逆です。
「こんな話をしたら、相手はどう思うだろう」「この伝え方で、相手にわかるだろうか」といった想像ができないため、興味を持ってもらえる伝え方、わかりやすく、ストレスや誤解が生じにくい伝え方ができないのです。
まったく興味が持てず、テーマやゴールも見えないわかりにくい話を聞かされるのは、聞き手にとっては苦痛以外の何ものでもありません。
内容を理解してもらうことはまず不可能ですし、その時間が長ければ長いほど、聞き手の苦痛は増し、話し手の印象は悪くなるでしょう。
まさに「話せば話すほど、残念な結果になる」状態です。
このタイプの人が同僚や取引先、友人、家族などにいると、周りの人は「自分の時間を奪われている」と思うことが多くなります。
また、話の内容が明確でないこと、理解できないことが多いため、勘違いや行き違いによる失敗、トラブルも増えるでしょう。
もっとも、「相手の立場になって考えることができない人」の中には、
「人と話すことに苦手意識をもっている」
「話している相手との人間関係が、まだできあがっていない」
「その環境(職場、学校など)にまだなじめていない」といった理由から、自分のことでいっぱいいっぱいになってしまい、相手のことを考えられない人もいます。
その場合は、伝え方のテクニックを身につけること、話している相手や環境になじむことで、気持ちに余裕ができ、相手の立場になって物事を伝えることができるようになるでしょう。
あるいは「自分の伝え方が相手を困らせている」ということに、本人が気づいていない可能性もあります。
この場合は、人から指摘されることで反省し、伝え方を改善できるかもしれません。
しかし一方で、「そもそも相手の立場になって考える」という発想自体がない人、人の気持ちを推しはかることができない人もいます。
残念ながら、そのような人が「頭のいい伝え方」を身につけるのは、少々難しいかもしれません。
そして、もしあなたの周りにそのような人がいる場合は、うまく相手の話を切り上げることも必要です。
そうしなければ、あなたの貴重な時間を、興味がなく、要領を得ない話を聞くことに費やすことになってしまうからです。
ただしその場合は、
「その話については、また後日、ぜひお聞かせください」
「今、10分しか時間がないのですが、よろしいでしょうか」といった具合に、やんわりと、かつ明確にあなたの意思を伝えるようにしましょう。
ポイント
「相手の立場になって考える」という発想がない人の興味の持てない長い話はうまく切り上げ、自分の時間を大切にする
高橋輝行(たかはし・てるゆき)
1973年東京生まれ。東京大学大学院物理学科卒(理学修士)。
大学院卒業後の2000年、博報堂に入社。ベンチャーを経て経営共創基盤(IGPI)に入社。2010年、「働くことに感動できる社会の実現」を目指してKANDO株式会社を設立。さまざまな視点から企業の成長戦略を支援するエキスパート。【こちらの記事もおすすめ】
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