4.外貨預金の4つのデメリット・リスクと対策
ここでは外貨預金のデメリットとリスク、またそれを回避するための対策について説明します。思わぬ損失を出さないためにしっかりと理解しておきましょう。
4-1.為替手数料がかかる
外貨預金の預け入れ時と引き出し時には手数料が必要です。外貨普通預金は基本的に出し入れ自由ですが、その都度手数料を支払うことになります。場合によって、得られる金利以上に手数料がかかってしまうと、為替相場に変動がないのに元本割れを起こすケースもあります。
【対策】
外貨預金は出し入れを自由に行うのではなく、一度預け入れたら一定期間はそのままにしておくようにしましょう。なお、同じように一定期間預け入れておくのであれば、満期日まで引き出せないデメリットはあるものの、金利高めの外貨定期預金に預け入れることも1つの方法として検討してみてください。
4-2.為替変動により、元本割れすることがある
外貨預金は、外貨を円に交換し引き出すときの為替相場が預け入れるときよりも円高になってしまうと、為替差損が発生します。これにより元本割れになるリスクがあります。
【対策】
預け入れするタイミングと引き出すタイミングを見極めましょう。とくに預け入れるタイミングは、自分1人で判断するのが不安であれば信頼のおける金融機関などで相談してみてください。
4-3.ペイオフの対象外である
ペイオフとは、ここでは金融機関が破綻した場合に、顧客が預け入れた預金等を預金保険制度で保護すること(保険契約)を指します。ペイオフ方式では1金融機関・1預金者あたり、元本1,000万円までとその利息分が保護されます。
外貨預金はこのペイオフの対象外のため、万が一金融機関が破綻した場合でも元本は保護されません。
【対策】
とくに初心者は、破綻のリスクが少ない金融機関を選ぶとよいでしょう。
4-4.カントリーリスクがある
外貨預金は外国の通貨のため、カントリーリスクが存在します。カントリーリスクとは、外貨預金購入対象の国や地域において、その国の政治や経済状況、戦争や災害、法改正による規制の変化、その他の事情によって証券市場や為替市場に混乱が起き、預金などの資産価値が大きく下落・変動する可能性を指します。
具体的には次のようなものが挙げられます。
- 為替相場の大幅変動による為替差損の発生
- 流動性の低下による払い戻しの制限
- 外国為替市場の機能停止による払い戻しの制限
一般的に新興国通貨の場合、先進国通貨に比べて大きなカントリーリスクがあると考えられています。国家経済が危機に瀕していたり、破綻したりすることは世界的に見れば珍しいことではありません。
外貨預金を行う場合は、その通貨を発行している国や地域の信用性を重視すること、金利が高いからという理由だけで購入しないことが大切です。
【対策】
とくに初心者は、リスクの高い新興国通貨ではなく、金利は低くとも安全な先進国通貨での長期運用を目指しましょう。
5.外貨預金を行う際の注意点
ここでは外貨預金のメリットとデメリット・リスクをおさえたうえで、実際に運用する際の注意点を説明します。
5-1.運用資金は必要資金(生活費や貯蓄)と分ける
外貨預金は、元本割れを起こすなどリスクがある商品です。そのため、運用資金は生活費や貯蓄とは分けて用意するのが大切です。これは株式投資などの「投資」と同じです。あくまでも「しばらく使う予定のないお金を使う」と考えましょう。
外貨預金にするお金は、現在の自分の資産状況から判断してください。まず自分のお金の属性を3つに分けます。
(A)毎月必要なお金、いざというときに使うお金:生活費、急な入院費用、冠婚葬祭費など
(B)将来的な目的のためにあらかじめ確保しておくお金:結婚資金、住宅購入費、教育費、老後資金など
(C)当面は使う予定のないお金:投資、外貨預金など
この(C)にあたる当面使う予定のない、けれど将来に備えて資産形成に役立てたいお金を元手として、長期的な目標を定めて、ゆっくりコツコツと増やしていきましょう。
5-2.出入金を頻繁に行わない(手数料による元本割れ回避)
4章でも説明したとおり、外貨預金は出し入れのたびに手数料がかかります。出入金は最低限にとどめましょう。
5-3.複数の口座に分散させる(ペイオフ対象外の対策)
外貨預金はペイオフの対象外であることを4章で説明しました。4章【対策】でも述べたとおり、信頼性の高い大手金融機関に預け入れることは1つの方法です。それとともに、額が大きくなってきた場合は複数の金融機関に分けて預け入れることで、破綻のリスクを分散させることができます。
5-4.差益額によっては雑所得の申告が必要(確定申告)
外貨預金で為替差益を得た場合、雑所得として確定申告する必要があります。該当する場合は確定申告の用意をしておきましょう。
一般的に次のケースにあてはまる場合は確定申告が必要です。
(1) 給与の収入金額が2,000万円を超える
(2) 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える
(3) 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える
〔出典・引用元〕国税庁:確定申告が必要な方
したがって「年収2,000万円以下の給与所得者で、給与所得および退職所得以外の所得と為替差益の合計が年間20万円以下であれば、確定申告は不要」となります。
まとめ:メリットとリスクをおさえて外貨預金を始めよう
この記事では外貨預金で儲かる仕組み、外貨預金のメリットとデメリット、リスクについて詳しく説明しました。
外貨預金は比較的手軽に始められる資産運用方法として、超低金利の今、注目を集めています。外貨預金にはメリットがありますが、元本割れやペイオフ対象外であること、差益差損が発生するなどデメリットやリスクも存在します。この記事で紹介したリスクや注意点を元に、自分の資金のうちどれくらいを外貨預金に回し、どのような金融機関に預け入れるかなどを知って外貨預金を始めてくださいね。
提供・UpU
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