超低金利時代と言われ預貯金だけではお金がなかなか増えない中、外貨預金を検討している人も多いのではないでしょうか。とは言え、「外貨預金は円預金より利率がよくて儲かると聞いたけれど本当かな?」「初心者がいきなり始めても大丈夫?」と、始めるかどうか迷っているかもしれません。

外貨預金は仕組みを理解して賢く運用すれば、円預金と比べて大きな運用効果が将来的に期待できる資産形成の方法です。始め方も難しくなく、少額から始めることも可能です。ただし、外貨預金特有の制度や注意点をおさえておかなければ、思わぬ損をすることもあり得ます。この記事では、外貨預金による資産運用が初めての方にもわかりやすく、外貨預金の仕組みと始め方、メリットとデメリットについて解説します。

1.外貨預金とは?

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はじめに、外貨預金とは何か、その仕組みについて説明します。

外貨預金とは、円を米ドル・ユーロ・豪ドルなどの外国通貨に交換して銀行などの金融機関に預け入れる預金方法を指します。預金としての仕組み自体は、一般的な円預金と変わりません。預けている間はその外貨の金利が適用されて利子が貯まります。

外貨預金の特徴は大きく2つあり、この特徴があるので外貨預金が円預金と比較して「儲かる」仕組みにつながっています。

(1)金利が相対的に高い
(2)為替差益が得られる

次の章で詳しく見ていきましょう。

2.外貨預金で「儲かる」2つの仕組み

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外貨預金で「儲かる」仕組みをここでは詳しく説明します。

2-1.【儲かる仕組み1】外貨預金の金利は円金利より相対的に高い傾向、これを利用する

外貨預金は円預金と比較して、現状、相対的に金利が高い傾向にあります。預け入れている間は外貨の金利が適用されるため、同じ金額を円のまま預金しておくより利子が多くなります。

たとえば、2021年1月現在の国内金融機関における金利は、おおむね普通預金で0.001%程度から、定期預金で0.002%程度となっています。

これは、米ドルと比較すると10分の1です。また円預金でも利息への課税率は外貨預金と同じです。外貨預金の金利の高さがおわかりいただけるのではないでしょうか(金利は金融機関により異なります)。

なお、外貨預金にも普通預金と定期預金があり、おおまかに次のような違いがあります。

【外貨普通預金】

  • 預け入れや引き出しは自由(ただし、都度、手数料がかかります)
  • 金利は外貨定期預金に比べて低いことが多い

【外貨定期預金】

  • 金利は外貨普通預金に比べて高いことが多い
  • 預け入れや引き出しは基本的に満期日までできない。中途解約する場合、定期預金金利が適用されないことが多い。
    *金融機関により異なります

2-2.【儲かる仕組み2】為替相場の変動を利用することで差益を得られる

外貨預金では、円を外貨で預け入れるときと外貨を円で引き出すときに、その時点の為替相場(為替レート)を適用します。

為替相場とは、円貨と外貨を交換(売買)するために外国為替市場において使われる交換比率で、常に変動しています。また、預け入れ時と引き出し時に適用される為替レートはそれぞれ異なります。この為替相場の変動を利用して外貨を安く買い、高く売ると、差益が生まれます。

為替差益を理解するためには円高・円安について知る必要があります。

たとえば、1米ドルの値段が円換算で100円だったとします。

【円高】
この後1米ドルが80円になれば、これまで100円出さないと買えなかった米ドルが80円で買える=米ドルの価値が下がった=円の価値が上がったことになります。この状態を円高と言います。

【円安】
逆に80円で買えていた1米ドルが110円になれば、米ドルの価値が上がった=円の価値が下がったことになります。この状態を円安と言います。

円高のときに日本円で米ドルを買い、円安のときに米ドルを売って日本円に買い戻すことで、為替の差額(この場合は100円 - 80円 = 20円)が利益として手に入ることになります(実際の取引では、手数料と税金が差し引かれます)。

この章では、外貨預金で儲かるために次のような2つの方法のあることがわかりました。

(1)円より相対的に高い金利を利用して長期的な運用を行い、利息を得る
(2)為替レートの変動を利用して為替差益によって利益を得る

3.外貨預金の4つのメリット

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あらためて、外貨預金のメリットをまとめて見てみましょう。

3-1.【メリット1】金利が日本円より相対的に高い傾向がある

2章で見たように、外貨預金の金利は円よりも相対的に高い傾向があり、比較的高金利が期待できます。

3-2.【メリット2】為替差益で儲けることができる

2章で説明したとおり、預け入れ時よりも円安の為替相場のときに外貨を円に交換することで、為替差益を得ることができます。

3-3.【メリット3】初心者にも始めやすく比較的少額からでも可能

外貨預金は「預金」のため、利息を安定して受け取ることができます。また株などの投資と比較するとそれほど仕組みや始め方が難しくなく、初心者にも始めやすいといえるでしょう。1万円程度の少額から試してみることも可能です。

定期預金にした場合も、1ヵ月など短い期間で区切られた商品もあり、相場を見ながら運用を継続するか解約するか判断しやすいといえます。

3-4.【メリット4】為替差損が生じた場合、損益通算できる

外貨預金の取引で為替変動などにより為替差損(4-2で後述)が生じた場合は、ほかで生じた黒字の雑所得からその分を差し引くことができます。これを損益通算と言い、確定申告することで損益通算可能です。

為替差損が出た場合、本来は確定申告する必要はありませんが、運用主に他の雑所得がある場合に、為替差損の金額と相殺できます(為替差損の損益通算ができるのは雑所得のみで、他の所得とはできません。また翌年以降に損失を繰り越すことはできません)。これにより税金の額を減らせる場合があります。

外貨預金で儲けるには、すでに見たとおりメリット1と2を上手に活用していくことになります。とくに為替差益による方法はタイミングによっては比較的大きな利益を得られることもありますが、一方で為替相場における外貨の値動きに注目する必要があります。

また頻繁な売買を行うと、その都度為替手数料が発生するため不利益を招くこともあります。外貨預金のデメリットとリスクについては次の4章で説明します。