餓了麼(フードデリバリー)と順豊(宅配便)

物流業、フードデリバリーサービスなども、先進的企業は、無人配送へ大きく足を踏み入れている。

フードデリバリーサービス2トップのひとつ餓了麼は、配送ドローン、配送ロボット「万小餓」の研究開発を続けている。無人機器は、即時配達を目指すこれからのチームには、欠かせない戦力と認識している。しかし調理済み食品の配達におけるドローンは、使用できる範囲の制約が多い。それに突発する事象の影響を受けやすい。

宅配大手の順豊は、2017年に水陸両用ドローンを実験している。そして今年2月には、国務院と中央軍事委員会とが「湖北卾州民用機場」の新設に同意した。これは順豊のための貨物専用の空港である。そして大型、中小型の新開発ドローンをどんどん隊列に加えていく。やがて見たこともないほどの大規模編隊に達するはずである。

先行投資は実を結ぶのか?

中国の宅配貨物量は莫大で、2017年は400億個、1日1億件を超えている。これを効率よくさばくには、従来の労働集約型モデルでは不可能だ。無人物流を研究し、経験を積み、普及させていく以外に方法はない。

京東X事業部のドローン部門トップによれば、解決すべき課題は多く、とくに航行時間、安定性、積載重量の3つは突出した問題だと述べている。ドローンによる小口配送のコストは高く、将来は無人運転車に取って替わられるかも知れないともいう。

これに対し世界最大のドローンメーカー大疆(DJI)は、電池が最大のネックという。容量だけでなく、合理的電力配分や、どのような効能を優先するのかも課題としている。

中国の無人配送は萌芽期にある。投資に見合うリターンは得られるかどうかわからず、政策上のリスクも高い。技術の進歩と需要を常に考察しつつ、進まなければならない。誰も将来は読めていないのである。政府8部門が連合で公布した「無人駕駛航空器系統標準体系建設指南2017-2018年版」の起草者の1人は、技術の成熟度から見て、無人車が走り回り、ドローンが本格投入されるには10年かかる、と発言している。

その当否はともかく、中国では大手各社が莫大な投資をして、物流の技術革新に努めていることは確かである。当然実を結ぶものは出てくるだろう。一方日本では宅配ポストや、再配達の減少対策くらいしか耳に入ってこない。新しい物流業のイメージが伝わってこないのは少し気がかりである。

文・高野悠介(中国貿易コンサルタント)/ZUU online

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