4.投資信託を始めるときは「投資目的」と「投資予算」を決めよう
3章で投資信託保有額の平均値を見てきました。「投資信託をいくらから始めるべきか」に万人にあてはまる答えはあるのでしょうか。この章では投資信託を実際に“自分は”いくらから始めるか、その考え方について説明します。
4-1.いくらから始めるかは、「投資する目的」と「それに必要な金額」から決める
投資信託をいくらから始めるかの答えは、“人それぞれの目的と、それに必要な目標額による”といえるでしょう。
投資する金額から考えるのではなく、「何のために投資をしてお金を増やすのか」「何年後にいくらお金があればよいのか」を考えて、目標金額を設定します。そこから前出のシミュレーションなどで、毎月の積立額がいくらになるかを逆算しましょう。
例えば、「起業資金にしたいから1,000万円貯めたい」「専門学校に通って新たに資格を得たいので400万円貯めたい」など、具体的な目標と金額があればそれを設定します。明確な目的や具体的な金額がなくても「老後資金にして安定した暮らしがしたい」などでもよいでしょう。ゴールを決めておくことで、投資を続けるモチベーションにつながります。
4-2.自分の資産状況から投資予算を決める
投資効果を考えると、1回の積立金額を多く投資したほうが、短い期間で利益がより多く得られる可能性が高いことは前述のとおりです。しかし生活費を削るなどして、無理な金額を投資に回すことは避けたほうがいいでしょう。投資はどれほどリスクの低いとされる商品でも、元本割れのリスクが必ずあります。投資に回すお金は、あくまでも「しばらくは使う予定のないお金」と心得てください。
投資にいくら回せるかは、現在の自分の資産状況を明確にしてから判断しましょう。これは自分のお金を、3つに分けて考えます。以下の(C)にあてはまるお金を投資信託にあてるとよいでしょう。
(A)毎月必要なお金、いざというときに使うお金:生活費、急な入院費用、冠婚葬祭費など
(B)将来的な目的のためにあらかじめ確保しておくお金:結婚資金、住宅購入費、教育費、老後資金など
(C)当面は使う予定のないお金:貯蓄、投資など
4-3.手数料や税金も考えて無理のない金額の商品を選ぶ
投資信託は、「購入時」「保有中」「売却時」に手数料がかかります。積立投資の場合は、毎月購入時手数料がかかります。手数料無料のものを選ぶなど工夫したいところです(5-2で後述)。また投資信託で得た利益には所定の税金がかかります。これらも検討したうえで、無理のない金額で購入できる商品を選ぶ必要があります。
5.投資信託の注意点
ここまで紹介してきたとおり、投資初心者にも比較的はじめやすい投資信託ですが、元本割れのリスクについてはきちんと理解しておきましょう。また、手数料等がかかる場合もあります。ここではあらためて、投資信託の注意点について説明します。
5-1.元本は保証されない(元本割れもあり得る)
投資信託は、元本保証商品ではありません。そのため購入した際の価格よりも将来的に値下がりして、売却時には元本割れする可能性があります。
投資信託は、投資する対象ごとにリスクが異なります。例えば海外株式を含む投資信託では、為替変動の影響で大きく値下がりする場合もあり得ます。商品購入時はどのようなリスク、どの程度のリスクがあるのか、あらかじめ確認しておくことが必要です。
<投資信託の主なリスク>
- 価格変動リスク:政治・経済情勢、投資先企業の業績などにより価格が上下する
- 信用リスク:株や債券を発行している企業の倒産などによるリスク
- 為替変動リスク:外国株式等に投資する投資信託は為替変動の影響を受けるため価格が上下する
- 流動性リスク:現金化ができない場合などがある など
5-2.手数料がかかるため要確認
投資信託は購入時、保有中(運用中)、売却時にそれぞれ手数料がかかります(NISA、つみたてNISA、ノーロード商品を除く)。
- 購入時手数料:購入する際に支払います。無料のものもあります(ノーロード商品)
- 信託報酬:保有している間に継続して発生する、運用を管理する手数料。信託報酬の割合は各金融機関、商品によって異なります。毎日、純資産総額に対して決められた割合(多くは基準価額に対して年0.1%~3%ほど)で毎日差し引かれます(別途支払う必要はなく、自動的に口座から差し引かれます)
- 信託財産留保金:保有投資信託を売却して換金するときにかかる、解約手数料です
特に、信託報酬は保有期間中継続してかかる手数料のため、必ず率を確認しましょう。
例えば自動積立の場合、毎月購入するたびに購入手数料が引かれることになります。「積み立てはノーロード商品を選ぶ」「信託報酬(保有時の手数料)が安いものを選ぶ」など、投資信託を始める際は、コストを考えることが大切です。売却の際も何度も分割して売るのではなく、ある程度まとまった金額にするなど注意が必要です。
6.投資信託は長期保有が基本戦略。迷ったらプロに相談しよう
投資信託は、長期間保有することで複利効果が大きくなり、時間(時期)を分散することでリスク軽減効果がより大きくなります。特に少額から積み立てる投資信託では、すぐに解約するのではなく、目的と目標額を設定しその期間は続けることを目指してください。
それでも、「自分はいくらから投資信託を始めたらよいのか」「投資信託の商品の選び方がわからない」という場合は、金融機関に相談するなどしてプロの意見を参考にしましょう。自分の状況にあった商品と投資金額を提案してもらえます。
まとめ
いかがでしたか。この記事では投資信託をいくらから始められるか、いくらから始めるべきかについて説明しました。
- 投資信託は1000円、商品によっては100円から始められる。またポイントなどでも始められる
- 3人に1人が投資信託を行っている、保有額の平均は約370万円である
- 投資信託をいくらから始めるべきかは、その人の目的と目標額、資産状況による
- 投資信託に回すお金には、当面使う予定のない余剰資金を充てる
投資する目的を明確にして目標額を決め、投資信託を始めてくださいね。
提供・UpU
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