住宅購入と転職、両者はそれぞれ大きなライフイベントです。しかし、住宅購入時に避けて通れない住宅ローンの借り入れと、収入に影響する転職を同時に行うのは難しいもの。今回は住宅ローンに対する転職の影響を検証し、両立できる道を探る方法を考えてみましょう。

「住宅ローン」と「転職」の一般的な関係

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2つのライフイベントに対する達成計画を立てる前に、まず住宅ローンと転職の関係を整理してみましょう。

「住宅ローン」を成功させるための鉄則

住宅ローンを成功させるためには、綿密な計画を立てることに加えて確実なローン返済を実行し続けることが条件になります。「借りられる金額」だけではなく「返せる金額」を把握し、返済総額を抑えるためにできるだけ低利かつ短い期間で返済していくのが鉄則です。

住宅ローン返済中に収入や支出の見込みが狂うと、住宅ローン返済に大きな影響を及ぼします。したがって、収入が変化するかもしれない転職は、必然的に住宅ローン返済の大きなリスクとなります。

「転職」が与える「住宅ローン」への影響

住宅ローンの審査には勤続年数も含まれるため、基本的に審査直前の転職はNGと言われています。住宅ローンは、住宅の購入契約後に組む流れとなり、住宅ローン審査が失敗すると住宅購入契約を解除せざるを得なくなります。

契約の際には契約手付金を買い主が売り主に払うことになりますが、買い主の都合で契約解除となると、この手付金は「手付放棄」となり、買い主には戻されません。また契約解除に対して、期日など契約違反(債務不履行)がある場合には、さらに違約金が発生する場合もあります。

但しこれらは自己都合による解約であり、契約後、住宅ローン審査に通らなかった場合は異なります。契約の内容として、住宅ローンの審査が通らなかった場合でも「手付放棄」を発生させないことを認めている「住宅ローン特約」(売買契約書では、“融資利用の特約”と記載されていることがあります)というものがあります。また、こちらは物件を現金一括にて購入する場合には対象とはなりません。

一方で住宅ローンの審査が終わり、住宅ローンの返済が始まっている状況で転職した場合は、金融機関へ勤務先の変更を届けましょう。もし、転職によって収入が減る場合には、資金・返済計画の組み直しなどさまざまな対応策を検討しなければなりません。

失敗しない「転職」を行うために

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住宅購入と転職を両立するためには住宅ローン支払いの最低ラインを明確にすること、そして「いつ転職するか」「転職の際にどんな職を選ぶのか」というポイントを整理しておくことが重要です。ここではこの2点を考えてみましょう。

転職を考えた「返済可能な」支払い計画を立てる

住宅購入は長期間で多額の借り入れを返済するため、たとえ低金利でも総返済額は会社員にとって大きな出費となります。そのため、返済が十分可能な借入額を基準に物件価格や購入時期を決めていくことが、余裕のある資金計画につながっていきます。

そして、転職というライフイベントも加えていくためには、転職による影響予測をある程度加味した資金計画を事前に考えておくことが必要です。ある程度、返済額と期間に余裕をもって、できるだけリスクの少ない計画を立てましょう。

住宅ローンの返済額は、住宅のランニングコストなども考慮し「月々いくらなら返済できるか」を基準に考え、そこから借入額を決めます。必要があれば希望の物件価格自体を下げることも検討し、実現可能な計画を立てていきます。たとえば新築を中古にするなど、物件の購入価格を下げる方法はいろいろとあります。

考えておきたい転職の条件

住宅ローンは、将来の収入に対して先にその使い道を決めてしまうことです。その意味で、住宅ローンを返済しながら転職をするならば、あらかじめ「将来の収入」を担保できるかということが重要な転職の選択条件となります。

住宅ローンには年齢制限や健康状態などさまざまな申し込み条件が定められているなかで「借入限度額は年収の何倍まで」という条件が定められている場合もあります。

つまり転職に際して、今後どの程度の年収が見込めるかを事前に確認しておくことが重要です。年収による審査に対しては、一定額以上の安定的かつ継続した収入があることが条件になります。

また転職を考えるなら、年収だけではなく勤続年数にも注意が必要です。金融機関によって規定はさまざまですが、ほとんどの金融機関が勤続年数を1年以上と定めています。自営業などでは開業から3年以上という基準を設けているところもあるので、転職してすぐ住宅購入と考えていても、タイミングによっては転職後しばらく家が買えないという可能性もあります。

また審査に関しては、転職が前向きな理由によるものかどうかもチェックされます。転職後の住宅購入を考える場合はその理由をしっかりと整理しておきましょう。

一方で長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」についてはこの項目が含まれず、この限りではありません。また勤続年数を定めていない審査を行う住宅ローンや、前職の勤続年数を考慮してもらえる審査などもありますので、必要であれば検討しましょう。

住宅ローン開始後の転職によって収入が下がる場合、あるいは下がるおそれがある場合は、返済の見通し、計画の見直しなどを事前に整理しておくことが必要です。

支払い条件変更の方法

住宅ローンは、それを扱う金融機関と長期にわたってつき合うことになります。人生、何が起こるかわからないというもの。当初の計画とズレが生じたときに、どのように対処すればいいのかをしっかり把握しておきましょう。

たとえば、ローンの返済が難しくなったときの対処法として、返済期間を延長することは可能です。ただし借入銀行によってさまざまな条件があり、利息を含めた総返済額が増加するなどのデメリットもあります。

さらに、住宅ローンの返済期間を延ばすことが可能となっても、金融機関には個人の借り入れ情報や住宅ローンの返済の情報などが記録されて残ってしまい、ほかのローンを組もうとしても審査に通らないといったペナルティーが科される可能性もあるので注意しましょう。

ただ条件変更申請が金融機関の審査に通るのは困難で、実際には何度も交渉する必要があるため、申請をして認められるまで期間が長くなることもあります。そのため期間的にもある程度の余裕をもって申請を行う必要があります。