米国のソフトドリンク全体の市場規模は約424億円(約6兆3600億円)。「プレバイオティック・ソーダ」は、全体からすればわずか2%程度の規模ではあるものの、その勢いは大手飲料メーカーがー目置く存在となった。
新興企業が道を開き、大手が後を追って参入
販売増加の原動力は、健康問題に関心が高い「Gen Z」と呼ばれる若者世代だ。伝統的な炭酸飲料やノンシュガーなどのダイエットタイプのソーダではなく、健康に良いとされる成分がプラスされている炭酸飲料を好んで飲む。
今後、長く顧客となる若い層の動きに大手飲料メーカーは敏感だ。コカ・コーラは2月から人気の「シンプリー」という飲料シリーズに「シンプリー・ポップ」という「プレバイオティック・ソーダ」を投入した。
354ミリリットルのスリム缶の商品で、パイナップル・マンゴーやライムなど5種類の味を製造している。6グラムの「プレバイオティック」成分のほか、亜鉛、ビタミンCが含まれている。
果汁味を前面に押し出すことで「プレバイオティック・ソーダ」に不慣れな層にも商品を手にしてもらうとしている。
一方で、ペプシコは3月17日、2018年から製造されている「poppi(ポッピ)」というブランドを買収すると発表した。買収額は約20億ドル(約3000億円)だ。
「ポッピ」はテキサス州の夫婦が開発した。元々はリンゴとシナモンなどで作る酸味のあるアップルサイダーを製造していたが、夫婦は新規ビジネスに投資するテレビのリアリティーショー『シャーク・タンク』に出演し新商品をアピールしたところ、投資家が名乗りを上げ、「ポッピ」として商品化された。
「プレバイオティック・ソーダ」の草分け的な存在で、2024年の売上高は5億ドル(750億円)以上にのぼる。10以上の味があり、アップルサイダービネガーが含まれていることが特徴だ。
2025年2月のプロフットボールナンバーワンを決める「スーパーボウル」では数々の名門企業と並びスポンサーとなり、中継中に「ポッピ」のCMが流れたことで、商品の認知度が格段にアップしたといわれる。