欧米は政治的不安定性で超富裕層人口が低迷?
北米は今後5年で超富裕層人口が38%増えると見込まれているものの、法人税の改正がどのような影響を与えるかによって、数字が変わる可能性が高い。低迷期に突入した感の強い欧州は、Brexitを筆頭に、長年絶大な権力を握ってきたドイツのアンゲラ・メルケル首相の地盤が緩むなど、「政治的な不安定性が、超富裕層の成長率に影響している」との見方が強い。しかしGDP成長率ではEUが米英を上回るなど、景気の上昇を示す要素もある。
2012年以降、超富裕層人口が著しく減った南米・カリブ(22%減)やロシア・CIS(37%減)などでは、ようやく回復の兆しが見え始めた。2017年は南米が20%増、ロシア・CISが26%増。しかし景気後退以前の水準に回復するには時間がかかりそうだ。
ウェルス・アドバイザーの見解「2018年、資産が増えるのはアフリカとロシア」
地域によって超富裕層人口の成長に差があることは分かったが、資産規模という観点ではどうか。調査に協力したウェルス・アドバイザーが「2018年、顧客の資産が増えると思う」と答 えた地域は、アフリカ(76%)とロシア・CIS(68%)のみ。ほかの地域に対しては「減ると思う」という回答が、北米(87%)、アジア(80%)、オーストラリア(62%)、欧州(58%)、南米(42%)など、圧倒的に多かった。
超富裕層が生活基盤を築く上で、生活スタイルや文化性、事業や投資に快適な環境のほか、安全性や安定性を重視する。これらのウェルス・アドバイザーは、超富裕層人口にネガティブな要素 として、「テロリズム(56%)」「ポピュリズム(49%)」「サイバー攻撃(47%)」「Brexit(34%)」「透明性・トランプ政権(31%)」などを挙げている。
世界中を飛び回る超富裕層、正確な人口を知るのは困難?
一方、正確な「超富裕層人口」を割り出すのは困難ではないか—との声もある。多くの超富裕層が事業や休暇など、様々な理由からかなりの頻度で国から国を飛び回っているため、「いつ、どの国で、どれぐらいの期間を過ごした」を追跡するのはほぼ不可能かと思われる。
例えば富裕層に人気のモナコを「主要な住居地」 とする超富裕層は50人だが、「住居用不動産を所有しており、(滞在期間を問わず)モナコを訪れる」超富裕層は542人もいる。そう考えると、これらの数字には大きな差があることになる。世界中に不動産を所有している超富裕層も多い。
この点に関してはホワイト氏も認めており、不動産に投資するか=住民となるか、ホテルに滞在するか=非住民となるかは、「国籍や年齢、文化、生活スタイルなど様々な要素に左右される」と述べている。
文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online
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