「バーナム効果」という言葉をご存知でしょうか。「本当のあなたはロマンチストですが、抑えているもうひとりの自分がいます」などと占い師に言われれば、「そうかも」とつい思ってしまいます。でも、これは誰にでも当てはまることであって、占いでも心理分析でもないわけです。このような認知バイアスのことを「バーナム効果」と呼んでいます。

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 この「バーナム効果」の由来となったのが、19世紀の米国に実在した興行師、P・T・バーナムでした。言葉巧みな宣伝術で大衆心理を操り、世界初となる「サーカス」の興行を始め、各地を巡業したことが知られています。

 そんなバーナムの半生を映画化したのが、新作『BETTER MAN/ベター・マン』の公開が始まったマイケル・グレイシー監督の大ヒット作『グレイテスト・ショーマン』(2017年)です。こびと、ひげ女、結合双生児……と、最近のテレビ番組ではすっかり見ることのできなくなった人気者たちが次々と登場します。

 3月29日(金)放送の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)は、『グレイテスト・ショーマン』を本編ノーカットで地上波初放映します。無難なラインナップの『金ロー』にしては、かなりアグレッシブな内容です。

19世紀のNYにオープンした「秘宝館」

 ヒュー・ジャックマンが主演し、日本でも興収52.2億円を稼ぎ出した『グレイテスト・ショーマン』。貧しい家に生まれ育ったバーナム(ヒュー・ジャックマン)は良家の娘・チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)と結婚し、世間の嘲笑にめげることなくショービジネスの世界で挑戦を重ねていく姿が描かれます。

 本編の上映時間は105分とミュージカル映画にしてはかなり短く、またバーナムの生涯も思いっきり美化されているので、バーナムの実人生を少し補足しながら映画の見どころに触れていきたいと思います。

 職を転々としたバーナムはニューヨークにあった地味な博物館「アメリカ博物館」を買い取り、「バーナムのアメリカ博物館」としてリニューアルオープンさせます。米国にある珍しい物を集めた博物館だったのですが、バーナムは子どもも楽しめるショーステージのあるエンタメ系の施設に変えたのです。日本のリゾート地にある「秘宝館」がマンハッタンにできたような感じでしょうか。

最初の大ヒットは、自称162歳の「ワシントンの乳母」