投資限度額は年間120万円
NISAの非課税投資枠は1年あたり120万円である。そのため、個別株投資を検討している場合は注意が必要だ。50万円の株式3銘柄に投資したい場合、2銘柄を購入できるが、3銘柄目は、残りの非課税投資枠20万円があるにもかかわらず、NISAで購入することができない。また、投資単位が120万円を超えているような銘柄はNISAで投資不可能だ。
NISAは損益通算ができない
損失が発生しても損益通算ができない点もデメリットだ。NISAで株式等を売買して利益が発生しても非課税となるが、損失が発生してもその損失は税計算上ないものとみなされるためだ。
例えば、NISAではない課税口座で、同一年内にC株式の売買で50万円の利益が発生し、D株式の売買で50万円の損失が発生していたとする。このケースでは、利益と損失を相殺する損益通算が可能であり、税金は発生しない。仮にC株式の利益に対して税金が源泉徴収されている場合でも、確定申告をすることにより取り戻すことができる。
一方、同じ売買でもC株式が課税口座でありD株式がNISA口座であった場合、D株式の損失は損益通算に利用できず、C株式の売買による50万円の利益に対する税金約10万円を納める必要がある。NISAの利用により税負担が増えてしまったケースとなる。
また、NISAで発生した損失は、翌年に損失を繰越して翌年の利益と相殺する「損失の繰越控除」も利用することはできない。
5年後に非課税期間が終了するとどうなる?
NISAのデメリットをいくつか取り上げた。しかし、最大のデメリットは5年後の非課税期間が終了するときに発生する可能性がある。
まずは非課税期間が終了する5年後にどうなるのかを整理する。一般に“5年後”と言われるが、NISAの非課税期間が5年間であるからといって、株式等を購入してからちょうど5年後に非課税期間が終了するわけではない。例えば、2014年にNISAで購入した株式等は、2018年末に非課税期間が終了する。2014年初に購入した株式にとっては2018年末までの5年間であるが、2014年末に購入した株式にとっては2018年末までの4年程度しかないことは注意しておきたい。そのため、厳密には非課税期間は“最長5年“と説明されることが多い。
最長5年の非課税期間が終了したときの選択肢
さて、その“最長5年”の非課税期間が終了する時にはどうすればいいのか。投資家には3つの選択肢がある。
- 非課税期間が終了するまでに売却する
- 翌年の非課税投資枠に移管する(ロールオーバー)
- 課税口座に移管する まずは、売却するケースを考える。NISAで購入した株式等は、購入した直後から非課税期間が終了するまでの間、いつでも売却可能だ。売却価格が購入価格よりも高ければ、利益が発生するが課税されずにNISAの非課税というメリットを享受できる。一方、売却価格が購入価格より低ければ、NISAで取引したメリットはなかったことになる。また、前述のとおりNISAで発生した損失は損益通算に利用できない。