女優の市川実日子が主演を務めるバカリズム脚本のドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系)が、今期ドラマの数少ない「勝ち組」になっている。市川は「通好みのバイプレイヤー」というイメージが強かったが、民放連ドラ初主演となった今作をきっかけに主演クラスとしての需要が大きく高まりそうだ。
46歳にして「主演女優」としても覚醒しそうな市川の業界内の評価や今後について、ドラマ・映画の世界に詳しい芸能記者が解説する。
『ホットスポット』は、2023年1月期に話題を呼んだ同局系ドラマ『ブラッシュアップライフ』の脚本を務めたバカリズムと制作チームが再集結したオリジナルドラマ。富士山麓のビジネスホテルに勤めるシングルマザーの遠藤清美(市川)が、宇宙人に出会ったことから物語が始まる「地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー」という、前作以上にぶっ飛んだ内容になっている。
視聴率はさほど高くないものの、第1話のTVerの再生数が早々に300万回を突破。TBS系日曜劇場『御上先生』などとTVerの再生数で上位争いをしているが、NetflixやHuluでは『ホットスポット』が1位を獲得している。SNSではストーリーの考察がブームになっており、近年のヒット作らしい盛り上がりを見せている作品だ。
どんな役にも染まるバイプレイヤー
前作同様に「会話劇の面白み」がメインになっているのが特徴で、鈴木杏、平岩紙、木南晴夏、池松壮亮、夏帆、坂井真紀、角田晃広、小日向文世ら実力派キャストの演技を存分に堪能できるが、そのなかでも改めて演技力の高さと存在感を視聴者に印象付けたのが主演の市川だ。
「当初は市川実和子の妹として雑誌『Olive』(現在は休刊)に登場。1994年に約27000人の中から正式に同誌の専属モデルに選ばれ、以降は数々の女性ファッション誌に登場して同性から支持を集めたが、当時はカリスマ的な人気を誇っていた姉の影に隠れている印象もあった。『Olive』の専属モデルを卒業した1998年、ファッション誌を中心に活躍していた売れっ子カメラマン・ホンマタカシが手掛けた短編映画『HOW TO 柔術』で、姉よりも先に女優デビュー。その前から女優のオファーはあったらしいが、モデルがお芝居をやることに抵抗があって断っていたそうです。