「場の雰囲気が一気に悪くなりました。夫に配慮をしてもらうために病気のことを話したのに、こんな事態を招いてしまうなんて……。姪にはもちろんですが、必死に怒りを抑える兄夫婦にも申し訳なさでいっぱいでした」

 よしこさんはすぐに謝りましたが、信夫さんは「俺まずいこと言った?」と、なにも分かっていない様子だったそう。

◆本人のためにも、まわりのためにも、早い相談が必要

 この事件を経て、よしこさんは専門家に信夫さんのことを相談。今は助言を受けつつ、夫に発達障害の検査を受けてもらえるよう、ふたたび働きかけています。

「無自覚に人を傷つけてしまう夫の悪癖は十分知っていました。私が“くさいものに蓋”をしてきたことで、姪にまで嫌な気持ちをさせてしまったのだと思いました。自分さえ我慢すればいい、なるべく避けて過ごせばいい……。それで済ませられる問題ではなかったのです」

 よしこさんは結婚式以後、“かわいい姪”と疎遠になってしまいました。どう声をかければいいのかわからず、連絡できないのだと話します。

 周囲以上に、当事者自身がもどかしい思いを抱えていることも多い発達障害。本人やその家族だけでどうにかしようとせず、専門家の力を借りることが大切です。

 よしこさんのケースのように、明確なきっかけがないとなかなか踏み切れないものですが、早めの対応こそが全員にいい結果をもたらすものでしょう。

<取材・文/古川諭香>

【古川諭香】

愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291