「裏メンズB/S」の存在

しかし、ここに「実家」という変数が加わるとどうなるだろうか。仮に、Aの実家は資産3億円、Bの実家は資産3,000万円としよう。AとBが一人っ子であり、資産の増減がないまま受け継ぐとすると、相続税を差し引いても、メンズB/SはAがBを大きく上回る。

「男の金銭的評価」を測るときは、実家が裕福かどうか、いわば「裏メンズB/S」を加味する必要もある。もちろん、Aは相続が起こるまで3億円を自由に使えるわけではないし、実際には相続税で苦労するかもしれない。ただ、宝くじに当たるなどの特殊要因を除き、多額の資産が手元に入ってくるという現象は、退職金と相続くらいのものだろう。

Aが受け取る3億円はどれほど価値があるのだろうか。仮に、Bの毎年のキャッシュフローが「プラス500万円」としても、3億円を積み上げるには60年かかる。3,000万円を両親から相続できるとしても54年かかる計算だ。

上記は資産の複利効果を加味していないが、日本を代表する企業に入社し、朝から晩まで働き、豪遊したい気持ちを抑えて年500万円を捻出し続けても、丸60年かかるのである。それをAは何の苦労もなく、富裕層の家に生まれたというだけで受け取るのだ。

お金持ちがますますお金持ちになる公式

一般的に、富裕層はお金を働かせるのがうまい。正確に言えば、お金だけではなく「自分以外の資本」に働いてもらい、新たな富を生むのに長けている。

60年間、Aの実家がお金を働かせる(資産運用する)とどうなるだろうか。現在、多くの先進国の中央銀行がインフレ目標を2%に置いているので、2%複利運用で計算すると、3億円は60年後、約10億円(約9億8430万円)になる。元本は3倍以上になる計算だ。

以前、経済学者トマ・ピケティ氏の著書『21世紀の資本』が話題になった。ピケティ氏の主張は、資本収益率rは経済成長率gを上回る「r>g」というものであった。あくまで長期視点であるものの、積み上げた資産(B/S)を運用することで得られるリターン(return)は、経済成長(growth)を背景とした労働所得の伸びを上回るという研究結果だ。

極端かつ過激に表現すると「富裕層がうまく資産運用すれば、一般人が汗水垂らして労働するよりも、はるかに早く、はるかに楽に、資産を殖やせる」ということだ。もちろん、勤労は非常に尊いものであり、多くの勤労者によって経済は回っているはずだが、意訳すると「お金持ちがますますお金持ちになる公式」とも言えるだろう。

どれを重要視するか、妥協するか

ここまで、男を財務諸表から分析してきた。メンズB/Sには実家という裏メンズB/Sがあり、実家が富裕層であればあるほど「r>g」の恩恵を受けて、いざ受け継ぐときに、より資産が殖えている可能性がある。

さらに言えば、裏メンズB/S以外にも「実家のキャッシュフロー」を表す「裏メンズP/L」も存在する。裏メンズP/Lから生み出させるキャッシュフローが、裏メンズB/Sに積み上がっていくわけだ。

メンズP/LもメンズB/Sも裏メンズP/Lも裏メンズB/Sも、4つ全てピカピカという男はなかなかいない。どれを重要視するか、妥協するか判断する必要がある。選ぶ側も、選ばれる側も、上記4つの優先順位を考えたことはあまりないのではないだろうか。そうであれば、一度、自分の中で整理してみても良いだろう。

文・ZUU online 編集部/ZUU online

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